赤信号
赤信号
目の前には白と黒のしましま。
空の方に頭をあげると赤い背景に“立ち止まっている”人が描かれた機械があります。
あたしは今お兄ちゃんと信号待ちです。
ねぇ、あーにぃ
ふと気になることがあってお兄ちゃんに尋ねます。
お兄ちゃんは少し面倒臭そうに眠たそうな顔を此方に向けました。
ん? どうした妹よ
どうして車がきてないのに、赤信号だと止まらないといけないの?
世間体の為だな
お兄ちゃんは迷わずそう答えました。
じゃああーにぃ、誰もみていなかったらわたっていいの?
何故赤信号で止まらないといけないのか、ただ誰かのつくったルールに縛られているだけじゃないか、しっかり考えた上で渡っていいと思えばわたればいい
……お兄ちゃんは偶に難しい事を言います。
そうしている間に信号が青に変わりました。歩き出そうとするお兄ちゃんを引き止めて尋ねます。
青信号で止まったりはしないの?
しないな
どうして?
偉い人が青信号の時は渡っていいって言ってたからな
そっかー
いつの間にか信号は赤に戻っていました。