安達盛長ってどんな人?
安達盛長ってどんな人?
やってきました、由比ヶ浜~。
潮風が気持ちいいですね。
お天気も良くて何よりです。
水冷たーい!気持ちいいー!
わあっ!いきなり水かけないでくださいよ!
えい、盛長もくらえー。
もう、子供みたいな真似を…。えい、お返しです!
うひゃー、つめたーい。
はしゃぐ三人を横目に、政子と広元は砂浜を見渡している。
ミニライブ会場として予定しているのだが、どうかな。
良いと思います。海水浴シーズンを避ければ、混乱することもないでしょう。
うーん…海はいいねえ。
伊豆を思い出して、心が和みます。
皆さん落ち着かれたところで、盛長さんのインタビューを行いましょうか。
私ですか?面白い話があるといいですけれど。
とりあえず、簡単な自己紹介をお願いします。
私の前世での名前は、安達藤九郎盛長と申します。安達というのは、領地の地名で、藤九郎というのは藤原氏の九男という意味です。
藤原氏といっても、私の場合藤原秀郷公を祖先とする、いわゆる武家藤原氏の系統で、摂関藤原氏とは全く別の家系になります。
将軍のインタビューでもお話ししましたが、私の妻の母が将軍の乳母だったため、私たち夫婦が伊豆へ渡り流人生活を共に過ごしました。
盛長がいてくれて助かったよー。寂しい流人生活も励ましてくれたり、女の子との仲立ちもしてくれたりでねー。
伊豆を出られない将軍に代わり、他所へ食料援助を頼みにいった、という伝承もありますね。
『曽我物語』という中世文学作品では、私が将軍と御台所の仲を取り持ったり、伊豆山神社で将軍が国を治める夢を見る、といった重大な役割を与えられています。
将軍が挙兵を決めた時にも、将軍の使いとして、関東各地の武士たちに呼びかけて回ってくれたんだよ。
何もない流人時代から将軍を支え続けてくれた、股肱の臣だよねー。
そうまでおっしゃっていただけるとは…感激です。
私も感謝しているよ。将軍亡き後、いろいろと支えてくれた。
我々北条一族と子孫に至るまで良好な関係を築けたのは、盛長さんと北条家の伊豆時代からのお付き合いがあればこそ、ですよね。
やだ、皆さん、そんなに持ち上げないでください。おだてたって、何にも出ませんからね。
…それだけに、2代目との関係悪化が辛いところですね。
あれは、私にも辛い出来事でした…。私の息子が、なぜああも2代目に敵視されたのか…。御台所がかばってくださらなければ、2代目に攻め滅ぼされるところだったのですから。
あれは頼家が悪いのだ。将軍でありながら、臣下の大切な女性を奪い、その痴話げんかの末に軍勢を動かし滅ぼそうとするなんて!
え……何それ。将軍死んだ後、そんな話があったの……?
そんな愚かな真似をするなら、先にこの母を倒しなさい、と身をもって止めました。
……なんで、そんなことになっちゃったのー。
いろいろとあったのですよ。それはもう……。
万寿、あんなに良い子だったのに…
そういうあなただって、流刑になった頃は「身内の弔いしか考えていません」と殊勝な事を言っていたのに、将軍になる頃には従兄弟や異母弟を破滅に追いやっていたではないですか。
あれは……!どうしてもそうしないとならない事情があったからで……!
将軍の意志じゃない…好きでやったことじゃない……もん……。
うわ~~~ん、義経~~!ごめんよぉ~~!
終わったことでいつまでも泣かない!あのちょっと知恵の回らない義弟だって、今頃どこかで転生していますよ!
そう、かなぁ…
そうですよ。我々がアイドル活動で有名になれば、きっとまた出会えます。
政子が言うと、なんだか信じられる気がする…。
ともかく、今は前を向いて進んでいきましょう!
私も、御家人の皆さんを探すのお手伝いします!
じゃあ、いっちょ気合い入れてかけ声いこっかー!
えいえいおー!!
歴史のあれこれは一人の意志で作られたものではなく
政治・経済・気象・地理などのあらゆる事が関わり合い
同じ空の下で生きる様々な人の思いが重なり合い
まるで、複雑な色合いで織り上げられた布のように積み重ねられていくもの
年表の文字だけを追いかけていては、見えないものもたくさんあるし、面白いものも見落としてしまう。
きっかけは教科書でも漫画でもゲームでも!
我々のことに少しでも興味を持っていただけたなら!
糸をたどるように、記録を探り会いに来てくださいね。
過ぎた歴史はただの過去ではなく、今日へと繋がるたくさんある道筋の一つなのだから。
未来を探るよすがにもなるでしょう。
それじゃ、難しい話はこのへんでおしまい!アイドル活動に向けて、早速体力作りだ~!
え? まさかこの砂浜を走るのですか?
今から?
もっちろ~ん!
将軍に続け~!
そんな、突然!
待ってくださーい!
あはは、お二人とも元気ですねえ。
私も負けませんよー。
皆、仲良く元気にやっていけそうだな。
これからメンバーが増えればどうなるか…。尼デューサーの手腕、見せてもらいますよ。
ふふ、まだまだ先は長いな…。
始動したKAMAKURA☆892計画。果たして鎌倉幕府が人気者になれる日は来るのだろうか?