タキ

私のポケットに入ってた紙に書いてあった
『滝沢 多岐は 滝沢 多岐』……
今日の私が持ってた紙にも、似たような
ことが書かれてた。

タキ

『私は私』……
自我に縛られてたのは私だけじゃ
なく、ミヤちゃんもだったんだ。

タキ

今日の私が持ってたこの紙は、
ミヤちゃんの字だ。ポケットの紙も
同じ筆致。

タキ

それを今日の私が持ってて、
一緒に鍵を入れてた。
ということは、やっぱり先に
ミヤちゃんが死んで、私が埋めた
あとに自殺したのかな……

タキ

いくら考えてもわかんないや。
合ってるのか間違ってるのか、
何を選んだらいのか……
誰を信じたらいいのか……

タキ

まとまらなくなってきちゃった。
一回おさらいしないと……ええと、
どこかに紙……

タキ

……あ。

タキ

これ……滝沢 多岐は、のこの紙、
ちゃんとした便箋じゃなくて線が手書きに
なってたんだ。モールス信号か……

タキ

……最初の方の私とミヤちゃんの
ものだったのかな……私の持ってる
記憶は断片的だからわからないけど……

タキ

内容にあんまり意味はないみたい。
ただの言葉遊び……

タキ

はじめはこんなに仲良かったのに、
今日死んだ私みたいにいがみ合ったり
して、今の私みたいに信じられなくて
試したり、分かり合ったりして……

タキ

どうしてこんなになっちゃったんだろう、
どうしたら解決できるんだろう……

タキ

何がいちばん正しいのか、
私にはわからないよ……

タキ

自分の言葉か、自分の記憶か、
自分の心か……それとも友達か……

タキ

……じき、明け方に飛ぶ。
それまでに、決めなきゃ。

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