14 終焉とそれから(骨董店side)
14 終焉とそれから(骨董店side)
結局、エドウィン氏はヴィクトリアを騙して幻の世界に連れて行き、自分はランプや古書店を引き継ぐ腹黒い算段をしていたってわけだな
ひどい人よね。まあ私があの事件の顛末を骨董店や古書店関係の人たちに話しておいたから、彼と取引する人はもういないはずだわ
リディア。なかなか狡猾な根回しをするんだな
当たり前よ!詐欺師は業界人の敵だもの。あ、そういえば、ヴィクトリアが昨日、新作の絵本を届けてくれたの。見てみる?
おお!立ち直ったんだな!どんな内容なんだろう。ぜひ見たいよ
リディアは封筒から絵本を取り出すと、フレデリックへ手渡す。
少年が異界を旅する物語だった。
少年は魔物と出会い、だが勇者から教えてもらったある呪文を唱えることでその危機を回避する。
面白いことに、その魔物の首には、深紅のリボンが結ばれていた。
これ、あの時のスカーレットのリボン?
そうみたい。ヴィクトリア、あの時は放心状態だったけれど、スカーレットや写真部のみんなに感謝をしていて、あの経験を糧にどんどん新作を描いているらしいわ。そしてきわめつけは、これ
リディアが手に取った物を見て、フレデリックは目を丸くする。
そう。アルハザードのランプはうちで引き取って欲しいって言ってきたの
それで、それをどうする?
フレデリックは見たいかしら?幻を?
まさか!そんなわけ、ないだろう
だったらこうしましょう!今回のことは、私たちだけの秘密。そしてこのランプは、何の変哲もない、ただのランプだった
リディアは悪戯っぽく笑うと、ランプを<ルルイエ骨董店>秘蔵品の金庫へ仕舞いこんだのだった。