王都グラチア アルネフォロス中央魔術研究院前
王都グラチア アルネフォロス中央魔術研究院前
不思議な夢だったな……
あっ、す、すみません! 考え事してて
大丈夫ですよ。こちらこそ、ごめんなさい
君は……!
私のことを、知っているのですか?
い、いや、その、夢で会ったような気がして……
えっ?
へ、変なこと言ってごめんっ
ふふっ。謝らないでください。実は私、記憶が無くて、気付いたらこの街にいて……。途方にくれていたんです
やっと、私を知っている人に会えたと思ったのですが……。夢でしたか
記憶喪失……やっぱり、夢と同じだ……!
えっと、この先に官憲の詰め所があるんだけど、案内しようか? 探し人の情報があるかも知れないし……
本当ですか? 助かります。あなたの名前は……?
ライオネルだよ
ありがとうございます、ライオネルさん。私はジュジュ。名前だけ、憶えているのです
ジュジュ……
ええと、こちらの方向ですか?
う、うん。案内するよ!
どういうことなんだ、これは……。偶然、なのかな……
アルネフォロス中央魔術研究院
はぁ、はぁ……まずい、遅刻だ……!
ん? あれは……
ガジェット? 古代の機械、のことですか?
ああ。西の丘で発見されたそうだ。小さな箱の形で、爆弾タイプらしい
爆弾……。郊外とはいえ、危険ですね。ガジェットは、どんな力を秘めているかわからない……
箱の表面には、魔術符号(まじゅつふごう)が刻まれていた。おそらく、召喚術の技術を用いたものだろう
……!
君は、この王国で唯一、召喚術を専門にする研究者だったな
……わかりました。すぐに向かいましょう
先生!!
ライオネル。何だ、つけてたのか
は、はい。ええと……
急ぎの連絡か?
い、いえ、その……
急用じゃないなら、後にしろ。これから西の丘に行くんだ。ガジェットの調査にな
ガジェット?
戻るまでに、ちゃんと自分の仕事を片付けておけよ
ガジェット……
おはようございまーす……
おはよう、ライオネル
堂々とした遅刻だなー、おい。でもまぁ、ラッキーだぜ? 今日は、機械の臨時点検で、休業だってよ
ウィスタリア様は、アレクシス様に呼ばれて不在よ。またいつものおつき合いかしらね
やっぱり、夢と同じだ! ってことは……!
ライオネル!
おっ、おい、どこ行くんだよ!
イヴァン!!
ライオネル君! 俺のこと、憶えてるんだね! これで、街を救える……!
え? 街を……救う?
ライオネル君は、憶えているはずだよ。この街の、破滅の瞬間を……
……!
おい、ライオネル!
はぁ、はぁ……。一体どうしたの。急に、真っ青な顔で走り出すから、心配して……っ
よかった。仲間のみんなも、一緒に聞いてくれないか
俺はイヴァン。君達に、全てを話そう