たとえば！
アオイヤツ
たとえば山田の場合！
山田 …… 世界の王となるべくして生まれた高校生
鈴木 …… 唯一無二の友達
山田の場合 １ 「王位」
俺は世界の王となる！
歴史に残る偉大な王となるために
俺は修行を始める！
修行ってなにするの？
資格勉強とか
完
山田の場合 ２ 「目的」
名刺に『世界の王』って書きたい
そんな名刺渡したら
「これはどういう意味ですか？」
って聞かれるよね
この資格があると
世界を総べる事が出来ます
国際連合の理事長よりも偉いです
完
山田の場合 ３ 「試練」
世界の王になるためには
相当に厳しい試験があるんだろうね
もちろん！
俺が世界の王たる者の器であると
証明しなくちゃならない！
例えば
なにするの？
ネットに載ってなかったのでわからん
完
山田の場合 ４ 「神性」
世界の王にはカリスマ性が必要だ
そうだね
それを踏まえた上で
俺を見た感想を一言どうぞ
はあ？
完
山田の場合 ５ 「愛」
世界の王たる者
人を愛し愛されねばならない
なるほど
そこでだ
愛を教えてくれる人材を探しているのだ……
聖母の様に慈愛に満ちた愛を
全てを包み込むような笑顔を
世界の王たる俺と話が合うような子が良いな
素直に彼女欲しいって言えよ
完
山田の場合 ６ 「資本」
世界の王たる者には
揺るぎない財力が必要だ！
まあお金は要るよね
石油でも掘るか
まずは石油王を目指さないとね
完
山田の場合 ７ 「能力」
世界の王も色々と大変そうだね
他にも条件あるし
世界の王ってもっとすげーし
例えば？
世界で一番強いとか
世界で一番賢いとか
ええと、なんか、そんな、感じだ！
完
山田の場合 ８ 「心力」
強いって……
具体的にはどうなの？
心技体
そのすべてを兼ね備えてる
もっとわかりやすく言ってよ
心ってどんなのさ
暑くても寒くても文句言わない
完
山田の場合 ９ 「理想」
困ってる人がいたら助けにいくし
喧嘩の仲裁とかするし
皆に認められなくても自分の道を行くし
そういふものに わたしはなりたい
完
山田の場合 １０ 「銀河」
宮澤賢治が世界の王だったのか
銀河鉄道を我が物とする人は違うな！
ワールドワイドでは収まらぬその器！
まさにギャラクシーワイド！
いや、持ち主とかじゃないでしょ
世界の王にとって所有権など無価値！
完
山田の場合 １１ 「白球」
ところで山田
日本には既に世界の王さんがいるからね？
なんだと！
すぐにでも挨拶に伺わねば！
じゃあ野球部に入ろうか
一緒に甲子園を目指そう！
完
山田の場合 １２ 「王道」
……
考え事かな
黙って考え事をしていると
なかなか風格があるように見えるなぁ
……くかー
完
山田の場合 １３ 「未熟」
俺は世界の王となれるだけの
大きな器の持ち主だ！
しかし客観的な視点で見ると
まだまだ未熟なのではないだろうか
鈴木よ！ 俺はまだまだ未熟か！？
うっわー どう答えても凹むんだろうな
完
山田の場合 １４ 「成長」
山田
僕はこう思うんだ
人の成長と言うのは
客観的に見ると外見しかわからない
背が伸びたことも成長だ
でも、山田の心は外見では測れないだろう？
客観的な意見なんて気にすることはない
世界の王を目指すなら、
世界の王の目線で考えるべきだよ
山田が自分で「世界の王になる」と
強く信じていられるなら
それだけで十分だと僕は思うよ
完
山田の場合 １５ 「世界の合言葉は友情」
鈴木……
やっぱりお前はいいやつだな
俺が世界の王となった暁には
是非右腕として頑張ってくれよ！
……え？
……それはちょっと
完
たとえば勇者
スライムとの戦い！
勇者……強い
スライム……弱い
全世界の正義に疑問を投げる！
世界の命運を賭けた激しい舌戦が始まる！
たとえば勇者 １ 「エンカウント」
ハッ！
茂みの向こうに何かいる
何者だ！ 出てこい！
…………
どうした？
怖気づいたのか？
完
たとえば勇者 ２ 「今度こそエンカウント」
出てこないのかい？
ふふ、罠だな？
こんな見え透いた罠を仕掛けるようなヤツだ
きっと近くに潜んでいるに違いない
罠に掛かったフリをして
おびき出してやろう
完
たとえば勇者 ３ 「三度目の正直」
来ないのかい？
いいだろう
ならばこちらから行ってやる！
なーんてね
完
たとえば勇者 ４ 「しばらく茶番が続きます」
……
ふふ
まだ反応がないな
風よ、巻き起これ……！
そーら風の魔法で木々を揺らすぞー
段々そっちに歩いて行くぞー
完
たとえば勇者 ５ 「もう少しお付き合いください」
……
これでも駄目か
ふふん
どうやら臆して逃げたようだな
このボクに叶うはずがない
賢明な判断じゃないか
完
たとえば勇者 ６ 「まだです」
念のためだ
何もいないことを確認しておくか
そこに潜む者よ
聞いてくれ！
私はここを通りたいだけだ！
無駄な戦いは避けたい！
こちらから攻撃する意思はない！
この通り、武器は手にしていない！
今からそちらに向かうが
平和的な対応を願いたい！
というわけで
そっちに行くけど攻撃しないでくれよ
完
たとえば勇者 ７ 「巡り合い」
ガサガサ……
！！
……
眼と眼が逢う
瞬間、好きだと気付いた
完
たとえば勇者８ 「星、堕つる」
茂みをくぐった先に居たのは
全身を黒い表皮で覆った魔物だった。
鋭いキバの露出したその口元からは
紫色の煙が絶えず漏れ出でる。
悠々と広げた翼は家よりも大きく、
尖った爪に帯びた毒には巨人族ですら耐えられない。
この地上おいて、もっとも恐れと敬意を受ける種族。
その黒き王、ブラックドラゴンだった。
完
たとえば勇者９ 「神髄」
まじかよ……
……
あれ？
これって看板？
ＢＤ（ブラックドラゴン）温泉郷はこちら
完
たとえば勇者９ 「本編」
ガサガサ……
うわっ！！
こんどはなんだ！？
見ていたよ勇者さん
全部、な
完
たとえば勇者１０ 「謀略」
なんだ、スライムか
そうさ、俺はただのスライムさ
眼が無くとも視覚はある
脳が無くとも意志がある
柔らかな体でも、強い心を持っている
この様なやわな体に生まれたからこそ
ワンランク上の心を育む可能性を得たのさ
スライムという言葉に秘められた重み
理解した上でもう一度言おうか
俺はただのスライムなのさ
完
たとえば勇者１１ 「御用件は？」
コイツ、めんどくさいな
で、ただのスライムがなんか用？
用事と言うほどのことではないかもしれない
しかし、俺はあえて声を掛けた
勇者のあまりの体たらくを見かねて、な
普通に喋れよ…
完
たとえば勇者１２ 「定義するもの達」
まずは『勇者』という言葉の
定義について論じてゆこうと思う
勇者とは『勇』の『者』と書く
『勇』とは『勇気』のことである
すなわち勇者とは
端的言えば『勇気ある者』を指す言葉だ
ここまでに異論はあるか？
質問
なんでこの私がお前の話に
付き合わなきゃいけないんだ？
それは今の議論とは関係ないな
お前の行動には
『勇者』としての『勇気』が足りない
これは勇者としての根本にかかわる問題だ
完
たとえば勇者１３ 「議論する者たち」
勇者よ
お前は死というモノを考えたことはあるか
一度でもよい、死を意識することで、
生命は新たなステップへと登ることが出来る
勇気とはその先にあるものなのだ
なあ、お前は魔物だよな
それで、私は人間であり勇者だ
この意味わかるよな？
剣に物を言わす、か
さもありなん
しかしお前は俺を斬ることは出来ない
斬ってはならないのだ
そう、勇者であるお前ではな……
なぜなら俺は
いいスライムだからだ！！
完
たとえば勇者１４ 「終わりなき戦い」
まじで？
まじで
資格証もあるぞ
すごいな……
王国の公認じゃん
国家公認いいスライムを迫害することは
王国法第１１８条の１２項の規定で
禁じられているぞ
違反者した場合の最高刑は無期だ
魔物社会との兼ね合いがある
ナイーブな案件でもあるからな
完
たとえば勇者１５ 「そして永遠に」
では議論の続きと行こうか
おおっと、もうタイムリミットだ
私は忙しいから他の奴を捕まえてくれ
まだ話は終わっていないぞ
そうだな、お前の旅に付き合ってやろう
長い長い旅の中で
お前を真の勇者へと鍛え上げるのだ
ふふっ
なかなかいい案ではないか？
待て！
勝手なことを言うな！
着いてくるな！
くるなって、おい！
鞄に入るな！ やめろ！
続く
たとえば次回予告！
たとえば
斉藤（１８歳）の場合！
たとえば斉藤（１８歳）の場合
斉藤……斉藤。
石田……石田光成の末裔とされる一族の長男、その自負はない。
たとえば童話
赤ずきんの場合！
赤ずきん……しょうじょ
オオカミさん……純情はぐれ狼
エロい話
たとえばコンビニ
あだ名編！
たとえば仙人
不詳の弟子編！
たとえば執事
お昼過ぎの貴婦人編！
たとえば小学生
深いお話編！
たとえば信長さん
マブダチ家康さんといっしょ！
たとえば勢いだけで！
ガンガン書こうぜ！
なお、執筆の予定は
一切ありません！
ネタギレ！
