春ー出会いと別れの季節。
桜の花びらがヒラヒラと舞い、新しい生活が始まる。
桜の木々が多いこの学園「桜高等学校」でもそうだ。

各学年ごとに貼り出されたクラス分けを見て、喜ぶ者、悲しむ者がいる中で、一人の少女はただ紙を眺めていた。

はぁ~…

彼女は心の中で溜息をついていた。
クラス分けの発表を見る為に、大勢の人が集まっているからである。
そんな彼女を見つけ一人の少女が声をかける。

優希ー!

あっ、麗子。

優希と呼ばれた少女は、声がする方に振り向いた。

おーすっ!
何組だった?

1組よ。
麗子も1組だった。

ホント!?

麗子はわーいと大きな声をあげ、優希に抱き付いた。

北沢さんと違うクラスだー!

くそっ、俺も違う!

桜姫と一緒に修学旅行が行けねー!!

男子の悲鳴が次々と聞こえてくる。
どうやら、北沢優希と同じクラスになりたかった男子の悲痛の叫びだ。

麗子、桜姫って何?

優希は麗子に他の人に聞こえないように話す。

知らないの!?
優希のあだ名だよ?

何よそれ!?

優希声大きいよ。

麗子が驚いた優希に説明をする。

桜姫ー桜高等学園のお姫様の略。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能で人望に厚い。
そんな人を桜姫と呼ぶ事が多い。
校内はもちろん、校外でも人気である。

他校の生徒に声かけられてる原因はそれだよ。

わかったわ、ありがと…

この時期だと新入生の1年からの告白ラッシュは続くと思うからファイト!

新学期早々そんな事言わないでよ。
早く教室に向かいましょ。

2人はゆっくりと校内に向かって歩いた。

1-はじまり―

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