まあ このまま再会を喜んでいたいけど 講義あるし 後でね

オ オッケー・・・

藤見は力なく立ち上がり 席に戻り未だに状況が掴めない富津とエミリーは藤見についていくように座った。

おい やま 西織教授と知り合いか? やけに親しい呼ばれ方してたけど

いやまあ まゆみ姉さんはいとこで小さい頃よく遊んでもらってた
昔からスポーツ万能 成績優秀でしかもあの通り容姿も完璧っていうマンガみたいな人

すごいじゃない しかも遊んでもらってたんでしょ?なんで怯えてたのよ?

まゆみ姉さんがね・・・俺にゾッコンなんだよ・・・

は?

え?

おい やま またいつものおふざけか

ちげーし ガチだって 見たろさっきの日本人らしからぬ公衆の面前の熱い抱擁

確かにあの光景はうちの親をちょっと思い出したけどいいじゃない好かれてるんなら キレイでイイ人そうだし

まあ そうだけど・・・ん?メール来た

4限であなたの授業は講義は終わりですから
その後で 研究室に来るように・・・
場所は南棟2階の一番奥の部屋ね
一人で来ること

まゆみ

うわー 行きたくねぇー

なんで やまが 4限終わりだって知っているんだ?

そこがまゆみ姉さんの怖いところさ。オレのことはとことん調べ尽しているからね。多分俺より俺のこと知ってるレベル
あ またメール しかも画像つき

来ないとやぁくんの小学校の頃の卒業文集を学内の掲示板に貼ります。

添付された画像には確かに藤見の小学校卒業文集がでかでかとあった。

うっわー・・・えぐいね それ

これはもう行かざるを得んな

もうやだ このいとこ

はい みなさん 今期からこの講義を担当します西織です
おそらくこの大学では一番若いでしょうからお姉さんだと思って気軽に話しかけてきてくださいね









4限終了後・・・

じゃ行ってくる

なに 辛気臭い顔してんだよ
ただ単純に会ってくるだけだろ食われるわけでもないし

だといいけどな・・・

えーっと 西織研究室は・・・あった

送られたメールの通り南棟の2階の一番奥の部屋のドアには『西織研究室』と真新しいネームプレートが貼られていた。

ちゃっちゃか済ませて家に帰ろ

藤見は一回深呼吸してドアをノックした。するとすぐに
「はーい 入っていいわよー」と西織の声が聞こえた。

失礼しまー

よく来たね やぁくん 会うのが待ち遠しかったよ。

笑顔でそう言いながら西織は目の前で両手を広げて藤見を出迎えた。
しかし、藤見の思考が停止したのは別に目の前に西織がいたからではなく、西織の格好が原因だった。

な ななななんて恰好してんだよあんた!!

やっとのことで出たツッコミはそれだった。というのも西織の格好は普通の白衣を羽織った理系教授のようだった。

白衣の下が下着のみであることを除いては・・・。

いやね やぁくんが来るのを今か今かと待ち構えているとつい体が火照ってしまって・・・

だからって脱ぐか!?普通!?

やぁくんもやっぱり男の子だし下着はもともとないより 外す方がやぁくんは好きかなって思って下着は残したの

なにその俺に対する下世話かつ細やかな気遣い!?
場所弁えろよ!!

ここは私の研究室だからどのような格好してようが私の勝手よ
それよりほら 白衣のボタン閉めるとさ白衣の下何にも着てないように見えない?グッとこない?

グッとくるどころかゾッとしたわ!!
親戚が大学という公共の場でこのような行為をしてるということに!!

なによ あなた好きでしょ学園もののいかがわしい本

なんで俺のいかがわしい本の好みのジャンルまで把握してんのさ!!

すでに家宅捜索済みよ
あなたのいとこの姉としてあなたのニーズには最大限応える所存よ

俺のプライバシーに土足で踏み込むな!!

やあねぇ ちゃんと靴脱いで探したわよ海外じゃあるまいし

そういうことじゃなくて!!
・・・はあ 疲れた

さて 微笑ましい親戚同士の再会の会話はまた後でじっくりするとして

微笑ましくねえよ 笑顔引きつるわ
つかまだするんかい

ちょっと真面目で大事な話をするね
これから私とやぁくんの将来設計の次に大事だから

なに勝手に一緒に人生歩むこと決定してんだよ

能力の話よ

・・・

その言葉で藤見の顔はハッとなった。

私が何の研究をしているかやぁくんは知ってるよね

人間の秘められた可能性を引き出す研究つまり意図的に能力者を生み出す研究だっけか

そうね それは表向きの話ね この研究が進めば能力者で構成される精鋭部隊を作れるってことで某国から支援を受けてる話もまだ表向きの話だけどそれはさておき・・・

いや!!その話が十分裏側な話だしサラッと怖いこと言うなよ。

裏側の そう 本当の目的は話したかしら

本当の目的?

そう 私はこの本当の目的のために必死に勉強していい大学に受かってまた勉強して博士号を取って海外に行って必死に研究してきたわ
そんな私が人生かけて成し遂げようとしている目的は・・・

目的は・・・?

今までにない神妙な面持ちの西織を見て固唾を飲む藤見
一瞬の沈黙であったがとても長く感じた。
そして意を決したかのように西織は口を開いた。

やぁくんをもっと知るためよ!!

は?

白衣の新たな可能性

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