おんながイヤホンを耳から外した。
ずっとおとこは喋りつづけていたのだが、イヤホンに気が付いていなかった。

おんな

あたしもたまには誘惑されてみたいものだわ

おとこ

じゃあオレがそれを請け負ってやろう

おとこ

ヘイ、マイラヴァー。君の趣味はなんだい?

おんな

…………

おんな

そうね、音楽を聴いたりすることよ

おんな

3秒あげるからラップしてちょうだい

おとこ

…………

おとこ

ヨッ……ヨッ、ヨッ、チェケラッ

おとこ

ヨッ……ヨッ、ヨッ、チェケラッ

おとこ

ヨッ……ヨッ、ヨッ、チェケラッ

おんな

…………

おとこ

…………

おとこ

ヨッ……ヨッ、ヨッ

おんな

あたしCDの内側にジャケットを入れるバイトがあるから。じゃあね

おんなは帰った。影の薄い「阿部君」がおとこ と おんな の会話を聞いていたらしく。ぷるぷる震えている。
非常に居心地が悪そうなおとこ。

おとこ

…………

おとこ

…………

おとこ

俺だってこの愛そりゃ相当!
これだってラブソングこれ本当!
漏れそう愛情、とうとうここまで!
してくてれいいぜ? もう、どうでも!

阿部君が、笑い転げていた。




どっかの六月に続くかもしんない。

ろくがつ そのご

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