あー…バイトが終わった後に同級生のリツと話し込んでたらもう夜の九時過ぎちゃった。
電話はしたけど、お母さん達の小言は覚悟しないとなー…。
…。
やむなく近道したのはいいけど、この時間は人通りも街灯も少なくて怖いんだよね、この道…。
！
後ろから、他の人の足音がする！？
…どうしよう、振り向いて確かめないと危ないよね。
！！
！！
しまった、対象に気づかれた！
クッ…完全に気配を殺した我らアーク団の気配を察するとはただの小娘ではないようだな…！？
何これ…？コスプレした変質者（暫定）の集団が一、二、三、沢山…。
こんな人数がずっと私のうしろにいたの？
（ていうか完全に気配を殺してたという自信の割に今思いっきり足音がしていた）
フッ…影ながらつけている事に気づかれてしまったようですね。
はじめまして、お嬢さん。
我々はアーク団。
そして、わたしはアーク・デスと申します。
普通に変質者ではありません。
我々は…
えっと、アーク・デス？さん？（なんだその格好…）今って自己紹介してます？
はい。
それって、結構長かったりしますか？
ウー…、ンー…、まぁ、そこそこ…。
アーク団の目的とか口上もあるんで。
少し短くも出来なくはないですケド…。
誰か！
いませんか！
前科百犯の特殊性癖を持った凶悪な変質者に襲われています！
イボイボのついたウネウネと動く棒を両手にもって今、追いかけてきています！
お願い、誰か助けて！！
ウオオーッ！さっきも言ったが変質者ではない！
そんなおかしなものも持ち合わせていない！
ちょっと、ちょっとやめろください！
やめろ小娘ァ！！
そうだ、やめろ小娘ァ！！
大声出したらこの辺の人とかお巡りさんに怒られるだろ！
デス様この子なんとかしないとボクら結構アツい事になりますよ！
外人四コマ（動きのある方）みたいな姿勢で逃げようとしながら文句をいうんじゃない！
ちょっと待っていなさい！
こんな事もあろうかと策を用意してある！
ウオッ、策だ。
具体的な策だ。
ちょっと、これで一つ…お願いします本当に。
正直私たちも役目だからやっているだけなんで、
流れで話聞いて適当なところで適度に怖がったりするだけでいいので…。（スッ）
エッ…！これを？くれるんですか？
話を聞く、だけで？
本当に！？裏とか一切なく！？
返せって言っても返さないですよ！鍋とか絵とか一切買わないですよ！？
いいんですか！？
あー、それはもう、全然オッケーです。
別に私たちは私たちアーク団の目的のための行動が達成できればこの誠意を伝える行為（湾曲的な表現）とかその辺は惜しまないっていうか経費が出るんで…。
アーク団…一体何が目的だっていうの！？
仕舞った。
誠意（湾曲的な表現）、仕舞ったね。
なんという鮮やかな手並…！さすがはわれらの隊長、悪の組織アーク団の次期首領デス様！！
デス様ワッショイ…（将来甘い汁をすわせてもらいたいナ）
デス様ワッショイ！（お賃金上がるといいナ）
デス様ワッショイ！！（行く行くは自分専用のハーレムなどを作りたい）
デ ス 様 ワ ッ シ ョ イ ！！！！（給料日前で金がない！焼肉を奢って欲しい！）
…
あの
ちょっと、もうさ、ホントに。
さすがに話するにしても、コレ、
皆さんの声で聞こえないくらいうるさくないですか。
あ、はい。
すみません、もうちょっと待ってください、今大人しくしてもらいますんで。ハーッ…。
あのさぁ…アーク・コモンズの皆さぁ、ちょっと聞いて欲しいんだけどー。正直ー…
そこまでよ！
！！
ウッ！デス様、今の声はあそこからです！
電柱の上に人影！
それに聞き覚えのあるこの声…。
我が宿敵、忌々しいアイツか！
ご名答よ、アーク・デス！
邪悪を払う可憐なる正義の使徒、ジャスティスフェンサーがここに参上よ！
その従者、ジャスティス・ビーバーさまもいるぜ！
とうっ！！†ジャスティス・ハンマー（頭上からの踏みつけ）†！！
ンンーッ！
ウワッ、オイ、あれ踏まれた肩の骨多分折れたぞ！？
†ジャスティス・バトン（三段ジャンプ式特殊警棒）†！！
ヒィッ、ママーッ！！
ウウッ…マッ…マァ…。
†ジャスティス・サンダー†ッ（改造済み130万ボルトスタンガン）！！
やめ、オワーッ！！！
ひでぇ…躊躇なく脇の下にスタンガン当てたぞあの女…。
いや、つーかなんかあれ多分興奮してるしな、あの表情。完全にヤバイよね。そもそも開幕警棒とかスタンガン使ってフェンサー（剣士）ってないよね。
見ろよあれェ…警棒で殴られたところ、プラスチックの兜がパッカリ割れて下の緩衝材ぶち割ってるぜ。
フェンサーっていうかゴリラ的な腕力とスタンガン躊躇なく使う凶暴さからいってバイオレンスゴリラだよねもはや。燃える瞳は原始のゴリラ。
この前漫画喫茶でそれ読んだけどオチひどくね？
戦闘員、アークコモンズが前に出ることを躊躇っている…。
やはり、一般戦闘員では†ジャスティスフェンサー†は抑えられないか…。
コモンズの皆さん、下がりなさい！
徒に怪我をすることはない。
彼女の狙いはアーク団幹部の私です！
私が彼女の相手をします！
アーク・デス！お出ましになったわね！
邪悪なアーク団の悪行、私が全て阻止してあげると言った筈よ！
特に幹部であるあなたは多額の現金を持ち歩いているのは調べがついているわ、
今日こそその汚らわしい邪悪な手段で得た有り金を、全部置いていきなさい！競馬やパチンコなどでワタシがそのお金を浄化してあげる！
フッ…笑止。
地域の自治体や法人などと地道な癒着を重ねて見積もりを切り詰め警備業や軽作業などで得てアーク団に託されている現金…。アーク団本体にすれば砂粒のような額であっても悪をなす為の立派な資金だ！
正義を背負う貴様に渡すわけにはいかん！
…貰うもの貰ったし全然わたし話に関係なさそうだしやっぱダルいからこのまま帰ったほうがいいかな…。
そう…。邪悪な人間の癖に有効にみみっちく集めたお金を使おうなんて、なんて邪悪な思考なの！許せないわ、アーク・デス！どうやらお金を惜しんで、お金で取り返しのつかない身体になりたいようね！
フッ…アーク団に邪悪などとなんの挑発にもならぬことを何度も何度も…
全く小癪なヤツよ、
部下をこれ以上傷つけることは絶対に許さん！
さぁ、掛かって来い！
この私が今日こそ貴様を返り討ちにしてくれる！
えっと、ながくなりそうなんで、やっぱ帰りマース…。なんか、ガンバってくださぁい。（小声）
や、デス様、ここでジャスティスフェンサーに挨拶するのわからなくもないですけど、順番がマズいですよ。
このお姉さんに全く話し通じてないしその辺含めて説明したほうがいいのでは？
君さっき皆と一緒に騒いでた割にいきなり口が回る癖に完全に余計な提案をするバイトみたいな事言い出したね…。
うわっ、マジでダルい。グッダグダになったから金だけガメてこっそり帰れそうな流れだったのにバイトに蒸し返された。マジでこの場の人間今すぐ全員死んでくれ。（どういうことなんですか…？正義とか邪悪とか、確かに全然話はわからないですケド…？）
…。
…。
…えっと…君、結構なんでも思ったこと口に出して言っちゃうタイプ？
いえっ、そういうことは、違いますけど？
…。
…。
スミマセン、デス様。
この子、帰ってもらった方がいいかもしんないですね。
この受け答え、完全に気分害してると思うんで…。
ア…、うん…、そうですね…。もうジャスティスセイバー？の対応に専念したほうがいいですね。今日は…。
オイオイ待てよ！
今、その子、もらった金云々っていわなかったかァ～！？
オイラの地獄耳は誤魔化せないニャン！
いや、帰らせるでしょ。元はといえば君たちの乱入が早いのと張り切りがすぎてまともに話も出来ない雰囲気になったんだから。
オッ？分が悪くなると人のせいニャンね～？
中間管理職の鏡みたいなやつニャン～。
お前みたいなクズ管理職がろくな仕事もせずに無駄に真ん中で中抜きにいそしんでいる組織はいずれダメになるニャンよ～？
ビーバーはインターネットでそういう例に詳しいんだニャン～。
ビーバー君、せめて君たちとはきちんと会話を進めないとならないと思うから言うのだが少しは人間に対して口を謹んで欲しいし、根拠のないあおりを入れないで欲しい。
今の聞いた～？フェンサーちゃん～！
邪悪な存在の癖にこいつかわいいビーバーに口答えしたよ～？
ええっ、確かに聞いたわ。投げやりな名前の、トカゲのエサで纏め売りされているだけの虫ケラは口を慎めですって！？
ワタシの友達になんてひどい事を言うの！
どうやら、あなたはワタシが想像するよりもずっと邪悪な卑しいクズだったようね！
つーか、あのバッタ、今喋ってた時飼い主と声被ってたけどこの面白い格好の飼い主が腹話術とかで話してるんじゃないんだ…。
あーもうまただよ…。
こいつ来ると絶対話の本筋とは違うところで絡み倒してきて話がいつもグダグダになって終わりますよね…。
思うんだけどわざとなんですかね。コレ。
あー、でもわざとって思ったら自然かもしれないですねー。結果的にはボクらの邪魔するのは成功してるワケだし。
なんかその線で考えてたら腹立ってきましたね。
オッ、デススーツの戦闘モードだ、人間相手に使うのは初めて見ますね～ソレ。
もう完全にやっちゃう感じですか？
そうですね、ここで徹底的にやってしまいましょう。
あれ、コレ人間相手でないのは覚えてるんですけど最近何で使いましたっけ。
轢かれそうになっている犬だか猫のために電車停めるという大悪事を働いてやったときじゃないですか。
あーっ、そうだ。アメリカ人の真似してね。ハイハイ。
ウオオーッ！現金を置いて死ね邪悪なクズめーッ！
今必殺の、†ジャスティスニューナンブＭ60†ーッ！！！！
あー、拳銃だ。今日は包丁省きましたね。まぁいいや、ちょっとやってきますね。
ウッス。
