ベッドの中で、陰鬱な朝を迎えることになった。
目覚まし時計の音で目が覚めたけれど、寝不足のせいで気分が優れない。
寝床から起き上がる気持ちが湧かず、しばらくぼんやりとしたまま身動きがとれなかった。
白いカーテンの切れ目から秋日和の青空がみえる。こぼれた陽射しが、フローリングに陽だまりを滲ませていた。
ようやく、緩慢な動作でベッドから抜け出し、浴室で熱めのシャワーを浴びた。洗面化粧台の前に立っても、まだ、気分がすっきりしない。
鏡にぼやけた顔が映っていて、瞼が少し腫れた感じがする。
瞳をゆっくりと左右に動かしてみる。白目が少し充血している。鏡に映る自分に向かって吐息をついてしまった。
今日は、十月中旬の土曜日。健太と、午前十一時に駅構内の時計台で待合わせ。駅前のショッピングモールで早めのランチをして、彼の好きな映画を観る予定になっている。
彼と出逢って二度目の誕生日を迎える特別な日なのに、映画を観ている途中で眠ってしまうような気がして不安になった。
プレゼントを受取る時、最高の笑顔で応えたい。けれど疲れた表情を、念入りな化粧でごまかすことができるだろうか。
今週は残業が連日続いて、身体が少しだるかった。昨夜はデートに備えて家でゆっくり過ごす予定だった。けれど、同僚の直美と深夜まで飲んでしまったのがいけなかった。
悔やんでいると、昨日の金曜日の出来事が脳裏に浮かぶ。