おんなが教室から出て行った。
帰った。
今日も無駄な一日だったわ
そんなわけナイだろ、俺がいるのに
アンタがいるからよ
ツマラない講義にツマラない男
これぞダイガクの人生浪費ってヤツよ。ふふ
大丈夫、安心しな
俺がお前を楽しませ
じゃあチョット面白いこと言いなさいよ
そうだな……十秒くれ
1……5……10、と。どうぞ?
オレはお前へのコイゴコロで十秒の重病だ
…………
どうだ。しかも俺の、この俺のホンネだ
きっと、あなたのアタマが重病なのね
ああ、キミに惑わされて重病さ
ごめんなさい、あたし好きな人がいるの
俺にも好きな人がいるから大丈夫、それは君さ
奇遇ね。あたしもよ
えっ
あたしもアタシが大好きなの
じゃあ、あたしカップ焼きそばのキャベツを乾燥させるバイトがあるから
さようなら、あたしの好きな人
おんなが教室から出て行った。
帰った。
言ってくれるじゃねえか
このオレをフるなんて……
ん……?
…………
お前のカップ焼きそば食わせてくれよ!
俺はお前が好きなんだ!
残念ながらおとこの声はおんなに届かなかった。
でも相思相愛だわ。
またいつかの六月に続くかもしれない。