見坊

取り違え、ですか…

御津子

はい

見坊

先生はウチの子を取り違えたと…

御津子

はい…申し訳ありません

見坊

…申し訳ないで済む話ですか?

御津子

それは重々承知してます。けれども…

見坊

けれどもではない!
もう3歳ですよ!?

生まれてからこの3年間、色んな思い出重ねてきたのに今更違うだなんて…

御津子

お気持ちは察しますが、それほど重要な問題では…?

見坊

あんた何言ってんだ!
あんたの不注意でこんな事態になったんだろうが!

御津子

確かにそうです。

けれども、

おたくの双子兄弟を取り違えただけで、おたくの子供たちには変わりませんよ?

見坊

そういう問題じゃない…

くっそぉ…

兄の朝陽が弟の夕陽で
弟の夕陽が兄の朝陽だなんて…

御津子

あの、あー…すみません

見坊

朝陽と夕陽はこれからどうなるんだ?

名前変わるのか?
戸籍変わるのか?

御津子

詳しい法律は分かりませんが、朝陽君と夕陽君は一卵生双生児ですし身長も体重も血液型も同じですから変わっても影響無いかと…?

見坊

あんたねぇ…

今まで何回朝陽に『お兄ちゃんなんだから』と言ったか分かりますか?

実際は弟の夕陽が我慢してたなんて、まだ小さい末っ子なのに可哀想なことを…

御津子

まぁ、朝陽君とはすうしか変わりませんが…

見坊

俺ね、名前にこだわったんですよ!?

しかも双子の兄弟だと聞いて、二人で手と手を取って合えるよう二つで一つの名前にしたのに…

御津子

朝陽から夕陽まで。
太陽のように元気に。

そうでしたよね

見坊

それが夕陽から朝陽までって…

完全に太陽ないじゃないですか!

御津子

失礼ですが、奥様の名前は?

見坊

は? 『美月』ですが?

御津子

つまり、夕陽と朝陽の間を支える月こそ奥様なんですよ!

見坊

それじゃ俺の存在は何ですか?
どうせ邪魔者ですよ…。

御津子

お言葉ですが、あなたの名前は?

見坊

…『晶』ですが?

御津子

その3つの『日』は誰の為にあるのですか?

奥様とお子さんたちの為に日が3つあるのではありませんか?

見坊

…!!

御津子

石器時代の家族にとって夜は恐怖の象徴でした。

野獣に襲われる可能性が高かったから。

でも見坊さん家族は違います!

どんな困難に襲われようと家族全員で手と手を取り合って幾千の夜を越えるのです!

見坊

幾千の夜を…!

御津子

あなたの『日』と奥様の『月』、夫婦合わせると『明』になります。

あなたたち家族4人揃って明るい『白夜』になれるのです!

今は白夜の尊い空を見上げましょう…!

見坊

先生…俺間違ってました!
頑張って沈まぬ太陽を目指します!

御津子

そうですか!
ぜひ頑張ってください!

御津子

ふぅー…何とかそれっぽい感じに丸め込めた
余計なトラブル抱えたくねぇし

プルルル…♪

見坊

あっすみません、妻から電話が!
ちょっと席外しますね

御津子

いいですよ!
いいですよ!
(どうでもいいよ…)

見坊

(うん…はい、えぇ?!!)

御津子

廊下なのに声やっかましいなぁ…

見坊

先生、聞いてください!

御津子

何かあったんですか?

見坊

いま妻からの連絡で、役所でウチの戸籍調べたら…3年前に俺慌ててたのか兄の出生届に弟の名を書いてました!

御津子

お前も取り違えたんかいっ!!

コント『子供の取り違え』

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