【 部員紹介 】
【 部員紹介 】
本名・古賀 典雅(こが のりまさ)
「放言同好会」の代表を務める三年生(二浪一留)。見た目はヤンキー、心は子羊。人になかなか理解されないフェチを幾つも持っている。
本名・日比谷 雛子(ひびや ひなこ)
ダンスサークルと掛け持ちする二年生。京都出身。大学デビュー勢のくせに、恋愛経験豊富なオンナとして振舞おうとする。ツッコミ専科。
本名・水瀬 鈴(みなせ すず)
ラクロス部で活躍する新入生。やや体育会気質だがその本性はあまりにも無垢な子。よく中学生に間違われるのが悩み。
本名・伊予川 春(いよかわ はる)
文学部歴史学科の二年生。「学部一可愛い変人」とはもっぱらの評判。筋金入りの古趣味ゆえか、いでたち通りの古風な言葉づかいをする。
本名・金井 文哉(かない ふみや)
ヤリチン(自称)の二年生。心の底から部長を慕う。女体目的で数々のサークルに出入りしているため、何かと情報通。
筆名・何津亭 某(なんつってい なにがし)
文芸部にも所属する三年生。かたくなに本名を明かそうとしないオタク。ちまちまとネット小説を書いているらしい。淫夢厨。
第1回
『 意識低い系・ヤリサー考 』
非公認サークルとは往々にして、大学側にその有を認知されていない。なるほど「公ノ認ムルトコロニ非ズ」と書いて非公認なのであるから、そうなることにきっと不思議はないだろう。
入学希望者や新入生にあらかじめ紹介されるのはもっぱら公認サークルである。これが手伝ってか、非公認団体――とりわけ小規模のもの――は新入生にもその有を認知されない。
自然淘汰がここに起こる。後継の代が形成されず、知られぬ間に解散してゆくサークルは挙げだせば累々なのだ。
……そう言う意味じゃあ、すーちゃんはどうしてうちに入ろうと思ったんだ?
ラクロス部って練習めちゃ忙しいんです、平日朝に練習あったりとかして。
それにあわせて履修組んでたら、授業がクラスの人たちと全然被らなくなっちゃったんです。
へぇー。でも、スポ薦とかではないん?
ハイ。
これでも一応、一般入試組です!
ホォー……すげえ、いやこりゃ思った以上に感心なこったぞ。
そんなこんなで普段、授業の合間に過ごせる場所っていうのが欲しかったんですよね。
そしたらtwitterで、ピイ子先輩のアカウントが宣伝してたの偶然見つけて――
そこでホンマに連絡してくれはるなんてね!
うむうむ、縁の然らしむるところじゃのう。
おうイヨ、お前いつの間に。
ゼミが早めに終わったゆえ、6限までは暇なのじゃ。
6限! 2年生はそんな遅い時間まで授業あるんですか?
……。
ちゃう、英語の再履やで(ヒソッ
止さねえかピイ子、この時期の1年生にゃまだ夢を見してやんなきゃダメだっつの。
あっはは……ハイ、あたしも、頑張ります。
ほらァ、こうなる。
…否、なるほど浮世は一切皆苦。
わしと同じ轍を踏まぬためにも、うつつの不如意を知っておいて損はあるまいぞ。
で、でもよオ、今すーちゃんはこんなに頑張っとる! 辛気臭せえ話は野暮だっ。
大丈夫、浪人も留年も経験してる俺が言うんだぞ!
かえって説得力削いどるやないの
だ、大丈夫です!
出るべき授業はきっちり出てますから! 今週レポートがヤバめですけど。
すーちゃん、ウチと同じ社会学部やんね。
「芸能とメディア」とか取っとる? アレむっちゃ楽単よ。
あ、取ってますとってます。
今週のなんて、ももクロのDVDみたいなやつ見るだけで終わっちゃいましたよ。
ウンウン。
何じゃそら、あんましリアペの書きようがなくねえか。
なんぞ、お堅い法学部殿が憂いておるわ。
でも何でかその授業、とってる人がみーんなチャラくて…。
まだほとんど喋ってない人からLINEきかれるとどーしていいか分かんないです。
えーと。…まあ教えたったらええんちゃうの?
うぅーん、それが………
おうヨ、それは気ぃつけなきゃだな!!
ひゃっ、ビビらせんなや!
こんにちはカナブン先輩。
よう、すーちゃん。お前の危機感は実際正しいッ。
何せあの授業を受けてんのは1年生だけじゃねえ。2年や3年のムサいのもウヨウヨしてるんだからな。
…ウッソやあ。何で何で?
フツーに考えて、天下一品級の楽単だからじゃね?
定員50人しかいねーし、すんげえ抽選なんだよアレも。1年で履修漏れしたヤツらは、当然次の年にかけるってワケ。
けっ、GPA至上主義の徒花よォ。
みんな、“S”が欲しいですもんね。
問題なのはよ、連中の欲しがってんのが単位だけじゃねーってことよ。
さてはアレなのかや?
上級生の輩め、そんなところに至ってまでいたいけな新入生を慰み者にせんと……?
……!
イヨ、大正解っ。オレが言いたかったのはそれだ!
よくぞ言った、カナブン! 見直したぞ。
すーちゃんの前ではええカッコしいなん見え見えや…………ほほえまっ。
そういえばもう去年のことになるが、ここから近い某大学でとんでもねえ事件があったな。
あー、スピリタス・カプセルのやつね。あれはテニサーやったっけか。
昨年わしらが1年だった頃には、衝撃の一報じゃったのお。
あすこは“白雲なびく”かの大学と、でけえ女子大とのインカレだった。
ヤリサー伝説ばっかり語り草になってるが、テニスそのものはマトモだったんだ。大会なんかじゃ1部リーグにいた時代もある。
ヤリs…いや、何ていうか、ウェイウェイ系の人ばっかりのとこだとやっぱり……うん。
うちの大学にもあんだぜ、そういう団体。公認サークルなのをいいことに、今のところ好き放題やってるわ。
えーと…そうだな、とりあえず「テニス倶楽部“Rabbits”」と「Teamサーモンピンク」はガチ。夏合宿とか、オニやべえんだ。
先輩、詳しいんですね!
あたし何だか全然よくわかってないんで、尊敬しちゃいます!
っしょ? さっすがオレ。
今度またゆっくり教えたげるからさ、ぜひ呑みに――
――ほほえ…ま?
朱に交われば、赤くなる哉!
イヨ、ナイス。
……え?
カナブンはホンマ、通やもんなあ。色んなとこ入ってるだけのことあるわ。
ナニが目的なんかは知らへんけどな…!?
語るに落つると知るべきぞ。
思うたわ。当面、このサークルで宴会はならぬとな。
えっ何この流れ
えと、どういう意味なんですか?
アーいやいや、深い意味はないよ多分!
……なァに、警戒し過ぎだオマエら。
むしろ先輩として、いろいろと教えてやっているカナブンを褒めてやっても罰はあたんねえぞ?
ホンマぁ~?
…? ……?
すーちゃんカワエエもんなあ。純粋っ子やもんなあ。
でもアカンねんで、カナブンみたいのにホイホイついてってまったら!
然り。歴史は繰り返す!
あの事変《クライシス》を繰り返しちゃあ、イケナイよなあ…!
――ッ!
わっ。
焦ったぜ――
今一瞬、某が団体名出しやがったかと……
いつから居はったんですか、某さん。
ず、ずっと居たぞ? 黙々とここで執筆をしていた。
某さんは、存在感希薄マンっすからね…。
ほな、カナブンに何か言ったってください。こん人さっそくアカンですわ。
イヤいいんだぞ、もっとやれ。
そこをピイ子やイヨが助けたりでもすれば、あとはきっと百合の花が咲くのみだからな。…ハアッハァッ
ゆ、“ゆり”って何ですか?
………うちの部のオトコにはもう期待すなゆーことや。
信用無えってこえーな
むしろオレとか、なんか悪いことしてます?
えっと、もう解んないです!
あ…………
解んないままならその方がいいわな…!
救われたなカナブン。万歳、無垢は正義だ。
イヤ…俺はひとえに、執筆用のネタが欲しかっただけよ。ヒロイン同士の百合っぽいの、割とウケるんだなこれが――
誰も聞いてへんって!
小説の話は、今度ゆっくり聞かせてください。…えっち方面はナシで(笑)
――酔ひ果てて うれしはづかし 春の色
乙女ごゝろや いかが知りぬる
なお飲み会は意外とすぐに行われた模様。
(厳格なピイ子の管理下において)
次回、飲み会回につづく!