メロンパンの袋を開けていると、レジ付近の机にあの兄妹の姿を発見した。

平桔平

どうも、菊菱妹と忍先生

俺が声をかけると先生は「やあ」と手を上げて応えてくれた。

平桔平

二人で飯っすか。仲良いんすね

菊菱忍

いやあ、遊が一緒に食べようって聞かなくてね。まだクラスの子達と仲悪いのかなと心配してるんだけど

先生の憂慮を聞いて、俺も苦笑して頬をポリポリと掻く。


確かにあいつらは一日二日で慣れるにはアクが強すぎる。




今しばらくは様子見の期間だろう。

菊菱遊

平、桔平……

菊菱遊は持ち上げていた箸を置いて、俺の名を呼んだ。


忍さんに顔を向けていた俺は視線をそちらへ滑らせる。

菊菱遊

……また、人生ゲームしろ

まさかの遊びのお誘いだった。

平桔平

お前、人生ゲーム嫌いなんじゃねえの? 普通にテレビゲームでいいじゃんよ

菊菱忍

どうやらこの間、桔平君に大勝してから味をしめたらしくてね。『ここでボロボロにされる分、あいつで解消する』って意気込んでるんだ

平桔平

性格悪っ!

性根が腐ってやがる。


ようやく痛みを分かち合える仲間ができたと思ったのに、互いに傷つけ合ってどうするんだ。

菊菱遊

だから今度は、お兄ちゃんも一緒に

そう言って彼女は俺と忍さんを交互に見やった。


ゲーム自体は楽しかったし、誘いに乗ってやってもいいんだが、俺には別のアイデアがあった。

平桔平

いいけどよ。今度はウチ来て皆でやろうぜ。大人数でやったほうが盛り上がるだろ

菊菱遊

う……

菊菱遊はその提案に声を詰まらせる。


だが、それにはノーは言わせない。

平桔平

お兄さんも招待すっから。俺と二人がかりでお前を守れば、被害は最低限で済むだろ

その分こちらの被害が増してしまう点にはこの際目を瞑(つむ)ろう。

菊菱忍

そうだよ、遊。どうせなら皆と仲良くなっておいたほうがいいよ

忍さんは俺に大賛成のようで、菊菱遊を優しく促した。


そしてしばらくすると、

菊菱遊

……機会が、あれば

彼女は小さく頷いてくれた。

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86|七日目 罪校生一同―ざいこうせいいちどう―

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