事件の真相──つまり、“空き巣犯と連続殺人犯は別々にいたのだ”。


全体の流れは恐らくこうだ。

まずこの街で最初に空き巣を働いていたのは、この菊菱忍さんだった。


話を聞くと、彼は無性に人のいない家に入りたくなってしまう性分らしく、その手口は菊菱遊の情報通り、手ぶらで侵入し、堂々と盗んだ品物を抱えて出てくるというもの。

なぜそんなやり方をしているのかは分からないが、本人曰く「それがポリシーなんだ」とか。
意味分かんね。

だが侵入しても物品自体に興味はないらしく、盗む品は住人にとってなくても支障のないであろう物と決めているようで、それがあの靴やら丸時計やら鍋やらである。つまり一件目から三件目の空き巣の犯行は忍さんによるものだ。

だがたまたま巡回か何かで、あの警官がその現場を目撃したのだろう。


そこで警官は己の勝手な正義感を満たすべく、それを自分の犯罪計画に利用することにした。

その計画とは『空き巣犯が連続殺人事件の犯人と同一人物である』と警察に思い込ませる、といったものだ。




そのためにあの警官は、忍さんの犯行をなぞりながら殺人を重ねていった。

それが最後に忍さんが侵入した三件目から続く一連の事件である。

周到なことに、あの男は空き巣とは無関係の殺人事件と処理されないよう、盗品として目立つ金目の物も頂戴して前二件との繋がりを匂わせつつ、自分から警察に通報することによって空き巣事件が風化しないうちに事件発覚を早めてもいたのだ。


はたして犯人の計画通り、殺人の容疑は忍さんにかけられてしまう。

素性はまだ割れていなかったものの、彼は身に覚えのない事件の報道に驚愕し、事情を説明して妹の遊の家にかくまってもらった。

実際不法侵入と盗みはしているのだから、それを知ったうえでかくまった妹の道徳観も決して褒められたものではないが、そういった点は犯罪者予備軍ならではかもしれない。


お兄さんは犯人扱いされているので、警察に無罪を訴えようにも無理がある。

かといって妹は実地での捜査は向かない。

そんな閉塞した状況に絶望していた彼らの下に、一筋の光明が差した。


それが俺、平桔平。


新しく転校してきた男子生徒は、犯罪的特性など有さないごく普通の一般人。

なので何をしでかすか読めない他のクラスメイトよりも御しやすいと考え、あえて俺の部屋に忍び込んで金品を盗み、事件の捜査をするよう仕向けたそうだ。

そしてそんな俺にクラスメイトも予想以上に協力し、無事事件は解決した。




街を脅かす脅威を取り除き、お兄さんの疑いも晴れる。

万事解決、めでたしめでたし。

平桔平

──なんて喜ぶと思ったかコラァァァ!

俺は二人の話を聞き終えた瞬間、スパコーンと机をはたいた。

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78|五日目 真相犯明―しんそうはんめい―

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