なんとなくの流れで菊菱と人生ゲームを終え(俺の惨敗)、文具店で小用を済ませ、家路を歩みながら、俺はこれまで得た情報を自分なりに整理していた。

犯人はまず、新聞勧誘を装って住人の不在を確認し、侵入、盗難、そして住人の帰りを待って殺害。
ここまでは弦巻がまとめた通り。

以降の菊菱のデータでは、元々犯人は大して価値のない物品だけを盗んでいた。

この街で起こった被害では一〜二件目までがそれにあたる。

しかし三件目では無価値の品に加えて金品も奪い、殺人も犯した。


そしてそこから先は金品だけを盗んで殺人、という流れ。

盗みの時は手ぶらで、部屋を荒らしたりはしていない。


そして第一発見者を装って、自分から警察に通報。




──以上。

えーと、さっぱり分かんねえ。

そもそもどうして、そんな細かい行動のデータしか手に入らないんだ? 

もっと背丈はこのくらいとか、年齢は推定いくつとか、具体的な人物像に繋がるものはないのかよ。




……ま、より詳しい事実が判明したところで、卓越した頭脳もない俺にはどうすることもできないんだろうけど。




それに……、

平桔平

信用できない、ねえ

菊菱がクラスメイトについて頑として主張したその台詞。


今ひとつその理由が分からない。




接し方を誤らなければ、普通の奴らだとは思うんだけどな。

……まあ言われてみれば確かに、俺も無条件に信頼してしまっている節はある。


思い起こすと不当に危害を加えられてばかりなのに、どうして俺はあいつらの無償の捜査協力の申し出を、抵抗なく受け入れたのだろうか。

あいつらにとっては興味本位が大半らしいが、不審に感じる部分がなくもない。




ふむ。

一考の価値はあるのか?




今回の空き巣被害に関して言えば、例えば鳥居笹千流。


彼女は独自のストーカー論で無罪を訴え、俺も一応は承諾したが、あれだけの能力なら、住人の不在時間を調べたうえでの侵入や窃盗なんぞお手のものだろう。


それに窃盗といえば弦巻藤吾だ。

万の盗みに精通と豪語するあいつなら、空き巣の一つや二つ、いとも簡単にやりおおせるかもしれない。


うん。


あいつらなら犯行は可能だな。

さらに一歩踏み込んで、巷を騒がせている強盗殺人はどうだろう?

殺人に関わる可能性があるのは、人性悪乃や八重梅規理。


動機は……まあ様々だろ。「カッとなって殺した」なんてよく聞く話。




まして犯罪者予備軍であるあいつらならば衝動的に人を殺してしまう危険性は十分にある。


うんうん。


その線もありうる。




ここまで考えが及んだところで、俺はふと思った。
こうして個々の特性だけを突き詰めていくと……あいつらって最有力の容疑者なんだな。

どうして俺は信用しちまってんだ?

LINK

61|四日目 犯信犯疑―はんしんはんぎ―

facebook twitter
pagetop