突然、弦巻が立ち上がり激昂した。
いきなりのことに思わず俺も言葉を中断してしまう。
突然、弦巻が立ち上がり激昂した。
いきなりのことに思わず俺も言葉を中断してしまう。
じゃあ桔平ちゃんは市民を脅かす犯人がこのままのさばっててもいいってのか!? それにそんな卑劣な人間に手を出されたってのに悔しくないのかよ! 見損なったぞ! 俺の知る桔平ちゃんはそんなクソ野郎じゃなかったはずだ!
ええ〜……
出会ってから日も浅いくせに俺の何を知っているんだと言い返したいが、鬼気迫る迫力につい気圧されてしまう。
そこに鳥居笹も栗色の髪を振り乱しながら続く。
そうだよ桔平君! 私は桔平君がこんな被害に遭ったことが悲しいし、苦しいよ! それを見ないフリなんてできないよ! だから一緒に闘おう! 私の知ってる桔平君は、こんな時にこそ勇気を振り絞ってくれるようなかっこいい人なんだから!
お前がそれ言うとやけに説得力あるな……
でも俺はそんな正義感の塊みたいな男じゃないんだが。
しかし急にどうしたんだ、この二人。
犯人の追求に関して異様な熱の入れようだが、ここまでくると不審にも思ってしまう。
お前ら、やたら俺を事件に関わらせようとしてるけど、何か理由でもあんのか?
そりゃあもう……なあ皆!
弦巻が全員を見回す。
すると皆が頷きを返して、そこから弦巻、八重梅、鳥居笹、巴、人性の順に、
桔平ちゃんが犯人探しに躍起になってるのが面白……見過ごせないんじゃないか!
委員長として、平君の狼狽(ろうばい)を見物……監視しなければならないもの
桔平君と事件を通してもっと仲良く……親密になりたいんだよ!
平さんが右往左往するとこを見たいんです
ザッツ、エンターテインメント
──お前らが我欲の塊だってのはよく分かったよ!
要は慌てふためく俺を鑑賞したいだけらしい。
あと鳥居笹は本音を隠しきれてないし、巴は隠そうともしていないし、人性、エンターテインメントはないよ。
だが怒りを爆発させる俺に、八重梅が姿勢を整え向き直った。
その瞳には、これまでとは打って変わって怜悧(れいり)な光が宿っている。