もしその想定が真だとすれば、相手は相当に悍(おぞ)ましい存在である。
利益の追求なしで、純粋に『強盗殺人』そのものを目的とする異常犯罪者。
正直、そんな奴相手に回したくない。
八重梅、それってつまり……
ええ、犯人は私達のように異常な犯罪的特性を備えた人間かも。少しこじつけ感もあるかもしれないけれど、もし空き巣から殺人のパターンに執着しているのなら、きっとその人物は『強盗殺人』的犯罪特性を備えているのかもしれない
『強盗殺人』的犯罪特性……
もしその想定が真だとすれば、相手は相当に悍(おぞ)ましい存在である。
利益の追求なしで、純粋に『強盗殺人』そのものを目的とする異常犯罪者。
正直、そんな奴相手に回したくない。
うーん……
ビビるこたないさ、桔平ちゃん。なにせこちらにはスリと詐欺師とストーカーと人斬りと大量殺人者の予備軍が勢揃いしてんだ。大船に乗った気持ちでいりゃいいんだよ
俺が首を捻ったのを相手の危険性を察知した故と思ったのか、弦巻が元気づけるように言った。
だが俺が悩む理由はそこだけではなかった。
……ちょっといいか?
ん? どーしたんだい、桔平ちゃん?
お前ら、話を聞いてわざわざ推理まで組み立ててくれてるけどさ……もしかして全員で事件解決に取り組む気なのか?
それには鳥居笹と弦巻が間髪を容れずに、
当然だよ! 私達はみんな、桔平君への協力を惜しまないよ!
そうだぜ桔平ちゃん。あくのんや求真も興味を示してるみたいだし、ここは遠慮なく俺達を頼ってくれていいんだぜ!
そうはっきりと宣言した。
他三人も明言したわけではないが、特に否定もないということは、一定の範囲内なら力を貸してくれるのだろう。
だが、そんな意外な親切心を見せてくれたからこそ、俺の気は重かった。
あのさ、水を差すようで悪いんだけど……
?
こもりがちになる声に、鳥居笹が小首を傾げ、弦巻は顔をわずかにしかめる。
金自体はもう盗まれちゃったし、口座も停止するつもりだから、ぶっちゃけ無理に捜査する必要もないんだよ。そんで犯人もかなり凶悪な性質を持ってるかもしれないんだろ? ならこちらから出向くようなマネはせずに自然に事件が解決するのを待ってれば
──なに言ってんだよ! 桔平ちゃん!