鳥居笹千流

え! そ、そ、それはもしかして、初めての共同作業!?

平桔平

そういう受け取り方か……

誤解を生む発言をするな。

近所の人ってこういう時、無駄に耳聡いんだから。


だけどなんだかんだで、俺もこいつのあしらい方を学んできた気がする。

こいつは直接的な危害がない分、慣れると面白いのかもしれない。


俺は鍵を差し込んで、扉を開けた。

鳥居笹千流

……あれ?

平桔平

ん?

部屋の中に鳥居笹を招き入れると、彼女は不思議そうに室内を眺め回した。

鳥居笹千流

桔平君、部屋の家具動かしたりした?

平桔平

は? いや……特にいじったりはしてねえけど

それよりも俺の家の内装を把握してる点に驚きなんだが……そういやこいつが引っ越し荷物受け取ったんだっけ。

鳥居笹はまだきょろきょろと視線を巡らせている。

鳥居笹千流

なんか、違和感がある

平桔平

違和感って、お前……あ?

ふとリビングに置かれたソファを見てみると、彼女の言うようにほんの少し、だがはっきりとズラした跡が下の絨毯(じゅうたん)に残っていた。

言うまでもないが、そんな微妙な配置替えなんてした覚えはない。


強烈な不安に襲われ、俺は貴重品の類がしまってある寝室のタンスへと走る。

部屋へ入り、慌ただしい手つきで収納の中身を確認すると、

平桔平

……ない

湧き上がった懸念が、見事に的中した。

鳥居笹千流

ど、どうかしたの? 桔平君

平桔平

通帳と印鑑が、ない

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32|二日目 罪難多発―さいなんたはつ―

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