誤解を生む発言をするな。
近所の人ってこういう時、無駄に耳聡いんだから。
だけどなんだかんだで、俺もこいつのあしらい方を学んできた気がする。
こいつは直接的な危害がない分、慣れると面白いのかもしれない。
俺は鍵を差し込んで、扉を開けた。
え! そ、そ、それはもしかして、初めての共同作業!?
そういう受け取り方か……
誤解を生む発言をするな。
近所の人ってこういう時、無駄に耳聡いんだから。
だけどなんだかんだで、俺もこいつのあしらい方を学んできた気がする。
こいつは直接的な危害がない分、慣れると面白いのかもしれない。
俺は鍵を差し込んで、扉を開けた。
……あれ?
ん?
部屋の中に鳥居笹を招き入れると、彼女は不思議そうに室内を眺め回した。
桔平君、部屋の家具動かしたりした?
は? いや……特にいじったりはしてねえけど
それよりも俺の家の内装を把握してる点に驚きなんだが……そういやこいつが引っ越し荷物受け取ったんだっけ。
鳥居笹はまだきょろきょろと視線を巡らせている。
なんか、違和感がある
違和感って、お前……あ?
ふとリビングに置かれたソファを見てみると、彼女の言うようにほんの少し、だがはっきりとズラした跡が下の絨毯(じゅうたん)に残っていた。
言うまでもないが、そんな微妙な配置替えなんてした覚えはない。
強烈な不安に襲われ、俺は貴重品の類がしまってある寝室のタンスへと走る。
部屋へ入り、慌ただしい手つきで収納の中身を確認すると、
……ない
湧き上がった懸念が、見事に的中した。
ど、どうかしたの? 桔平君
通帳と印鑑が、ない