室内には想像以上の世界が広がっていた。
それも格別に良い意味で。
磨かれたようなフローリングの床。
染み一つない壁紙。
玄関から伸びる廊下の、真正面突き当たりに一つ、左右に二つずつ落ち着いた色あいの扉があり、俺は逸る気持ちを抑えて靴を脱ぎ、まずは真っ直ぐに進んで正面扉を開けた。
そこはリビングダイニングで、軽い立食パーティーでも開けそうな広々とした空間があり、バルコニーに通じる壁一面のガラス窓からは、高層階の住民だけが味わえる街の絶景が一望できる。
残りの部屋のうち、二つはトイレとバスルーム。あとは空き部屋が二つ。
おまけにリビングの隣りには手頃な広さの和室まである。
まさかの、3LDK。
もう一度言うが俺は平凡な高校生だ。
秒で数億稼ぐIT企業の社長とかでは断じてない。
俺はその場で大きく深呼吸した。
ほんのりと良質な木材の香りがする。
……最高だ。
この部屋に二年間住めるというだけでも、人に自慢できる貴重な体験となるだろう。
ああ、初めてこの学校に来て良かったと思えたよ……。