室内には想像以上の世界が広がっていた。
それも格別に良い意味で。


磨かれたようなフローリングの床。
染み一つない壁紙。

玄関から伸びる廊下の、真正面突き当たりに一つ、左右に二つずつ落ち着いた色あいの扉があり、俺は逸る気持ちを抑えて靴を脱ぎ、まずは真っ直ぐに進んで正面扉を開けた。


そこはリビングダイニングで、軽い立食パーティーでも開けそうな広々とした空間があり、バルコニーに通じる壁一面のガラス窓からは、高層階の住民だけが味わえる街の絶景が一望できる。

残りの部屋のうち、二つはトイレとバスルーム。あとは空き部屋が二つ。

おまけにリビングの隣りには手頃な広さの和室まである。


まさかの、3LDK。


もう一度言うが俺は平凡な高校生だ。
秒で数億稼ぐIT企業の社長とかでは断じてない。

俺はその場で大きく深呼吸した。
ほんのりと良質な木材の香りがする。


……最高だ。

この部屋に二年間住めるというだけでも、人に自慢できる貴重な体験となるだろう。


ああ、初めてこの学校に来て良かったと思えたよ……。

鳥居笹千流

おかえり、桔平君。もうすぐお蕎麦できるからゆっくりしててね

平桔平

おう分かった。ありがとな

俺はキッチンで料理をする鳥居笹に礼を言うと、すでに運び込まれていたソファにどさりと座り込んだ。


部屋を見渡すと空の段ボール箱がいくつか散らばっている。
どうやら彼女が引っ越し荷物を受け取って整理してくれたようだ。


家具の配置も悪くない。
将来はできた嫁さんになれるぞ。

……なんてな。

鳥居笹千流

はい、お待たせ

ぼんやりしているうちに、鳥居笹が二人分の蕎麦を持ってきた。

机にとんと置かれた器の中には種類豊富な揚げたての天ぷらものり、ほかほかと食欲を誘う湯気が立っている。

平桔平

うわー、美味そう! 丁度腹減ってたんだよ

鳥居笹千流

良かった。帰りに食べてきちゃってるかと思って心配してたんだ。それじゃ早速食べよっか

俺は両手を合わせて元気良く、

平桔平

それでは、いただきまー……ってコラァァァァ!!

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16|一日目 犯罪学級―はんざいがっきゅう―

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