上機嫌で下駄箱に到着した俺は、瞬時に妄想を中断させられるハメとなった。


目を疑うような凄絶な光景がそこに広がっていたからだ。

今まさに使おうと思っていたところも含め、下駄箱の扉一つ一つがへこみ、歪み、ひしゃげている。
まるで超常的な力で圧し潰されたかのようだ。

グシャ!

そして今まさに、その景色を作り上げた創造主(クリエイター)がまた一つのオブジェをそこに誕生させていた。

そいつの正体は……、

平桔平

お前……人性悪乃、だっけ?

人性悪乃

あん?

人性悪乃は、たった今下駄箱に突き刺した脚を引き抜くと、ゆったりとした動作でこちらと対峙した。


長い金髪の隙間から窺えるダークブラウンの瞳からは、鬼も裸足で逃げ出しそうな殺気が見て取れる。

顔立ちが人形のように整っているのが逆に恐ろしい。
つーか悍(おぞ)ましい。

平桔平

……何やってんの?

解説を求めた俺に対して彼女は一旦下駄箱に視線を戻すと、自分の名字のプレートが貼られた扉をカパカパと開閉させた。

人性悪乃

なんかあたしのとこだけさ、すげえ建てつけ悪ぃんだよ。だから全員の分も開きにくくしてやった。平等な社会って、こういうことだろ?

平桔平

…………なるほど~

──この人、やべええぇぇぇ!!

どんだけ自己中な物差し持ってりゃ、そんな醜悪な平等論が生まれるんだよ!? 
原始共産制も真っ青の横暴だぞ!


これが、人性悪乃……!

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12|一日目 犯罪学級―はんざいがっきゅう―

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