俺は前頭部を押さえながら絶叫した。


藤色の袋に収められていたのは、竹刀ではなく本物の刀。

そんな代物を躊躇なく使用しておきながら、八重梅は涼しい表情のままだ。

八重梅規理

喚かないで。ただあなたの心が下劣な欲に満たされていたら、その首が飛んでいたというだけでしょ

平桔平

『だけでしょ』じゃねえよ! んなもん、学校内で振り回すな!

八重梅規理

だからいちいちこんな些事で声を張り上げないでって言ってるの。私が本気で斬るつもりならあなたはすでに細切れになって事切れていたわよ。もしくは微塵切りでも可

平桔平

大して結果は変わんないし!

ちょっと待て、何この人!? 
平然と殺害予告しちゃってるよ!

この国はいつからこんな猟奇的な人間を野放しにしておくようになったんだ?

八重梅規理

とにかく、これ以上無意味に騒ぎ立てるようなら本当に斬り殺す……いえ、KILL殺すわ

平桔平

KILLに殺すって、落雷が落ちるとか頭痛が痛いみたいな重複表現になってる気が

八重梅規理

文句ある?

文法への真っ当な指摘に、日本刀を手に持つ女の瞳が、研ぎすまされた刃のような光を発した。

平桔平

……ないです

そこからは余分な会話は一切遮断され、水を打ったような静けさのなか案内は続き、文字通り身を斬るような心持ちでどうにか校内を一通り見終えることができた。

平桔平

何なんですか、あいつら?

案内後、俺は大至急職員室に駆け込み、二人の生徒から振るわれた暴挙について柊先生に申したてた。

しかし先生は俺の訴えに対して、

柊瑞穂

その程度で済んで良かったじゃない。相手が人性さんとかだったら、原形すら留めてなかったかもしれないわよ?

眼鏡をクイと上げつつ、けろりとした様子。


……どういうことだ?

平桔平

だいたい、あのクラスは意味が分かりません。そもそもどうしてあいつらだけあんな少人数なんですか?

柊瑞穂

ふふ、ちょっと遅くなってしまったけど……ここでキチンと説明しておきましょう

先生が椅子を回転させ、こちらに向き直った。

表情も心なしか真剣なものへと変わっている。

柊瑞穂

ここは、犯罪者予備軍の子達が集められた学校なの

LINK

7|一日目 犯罪学級―はんざいがっきゅう―

facebook twitter
pagetop