平桔平

あのー……

弦巻藤吾

あのー……

男二人はこの時点で完全に置いてけぼりを食らっている。

どうにか戦争勃発は避けられたものの、『皆で遊ぶ』という本来の目的はどこぞへ吹っ飛んでしまったようだ。

人性悪乃

ヘイ、ワットザファック!? これシューティングじゃねえか!

八重梅規理

……しかも勝手に協力プレイになってるわ。不愉快ね

人性悪乃

だったら先に全滅させたもん勝ちだ!

八重梅規理

そしたら両方クリアになるじゃない。普通こういう時は撃墜数を競うものでしょ? 金色お馬鹿さんはそんな機転も利かないのかしら

人性悪乃

うっせえ! 切断馬鹿が偉そうにほざくな!

八重梅規理

いちいち声を荒らげないでくれる? 破壊衝動に加えて騒音問題も発生したら、あなたいよいよ公害認定されるわよ

罵声を浴びせ合う金髪ロングと黒髪ボブコンビの後ろで、俺達はやたら大きく響く筐体の音を虚しく聞いていた。

弦巻藤吾

……あーらら。折角皆で遊べるかと思ったけど、邪魔しちゃいけない空気だねー

平桔平

ゲーセンとか久々だったんだけどな……ん?

ふと見ると、さっきの子供はまだこちらをじっと見つめている。

よほどあの怪獣女の侵略が許せなかったのだろうか。


可哀想に、あんな幼い頃から強烈なトラウマを植えつけられてしまって……。

このまま一言も謝罪がないのも気が咎(とが)めるので、俺はその子にそっと近づいて声をかけた。

平桔平

えっと、なんかごめんな。あのお姉さん、俺達のクラスメイトなんだけど、ちょっと感情が爆発しがちというか、抑えが利かなくなるというか……

一方子供は、俺の言い分を聞いてもまだぼんやりとした表情のままだ。

もしや、あまりのショックに感情が失われてしまったのだろうか。

弦巻藤吾

どうしたの? もしかして、何かあの人に伝えたいことでもあるのかな?

弦巻が俺の横に並んで、菊菱の時と同じように優しく話しかけた。


こいつって、ほんとこういう接し方上手いよな。

そしてぼんやりとしていた子供も、弦巻には話す決心をしてくれたようで、

うん。あの金髪のお姉ちゃんがね……

平桔平

──え?

子供の話に、俺達はキョトンとさせられた。

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30|二日目 罪難多発―さいなんたはつ―

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