おじさん探偵は、その後すぐに
長年の経験を生かし(企業秘密だそうな)、
女の部屋と名前を突き止めます。

すぐさま私の携帯に連絡が入り、私はおじさんと会って契約を交わす事にしたのです。
…というのは、友人の紹介で急遽調査に入って頂いた為、事務手続きやお支払いがまだなのです。
祭日なので、娘は息子にみてもらえる…それもありました。

動きが出たらおじさんには直ちに業務に戻ってもらう事にしてあります。

夫の車は高速を抜け、下町あたりを走行中。
当分戻る事はないだろうと踏んでの行動です。
時計をみると14時過ぎ。

支度を急ぎ、おじさん探偵の元へ。
現場とは少し離れた喫茶店で会う事にしたのですが、私がとんでもない方向音痴。ナビがあるにも関わらずグルグル同じところを回ってしまい、
しまいにはおじさん探偵が、車を誘導してくれる羽目に
その最中、交差点でおじさんが「ヤバイ‼️」
思わず声を上げました。

夫の車がその交差点に進入してきたのです。
何で⁉️

私の車が交差点を通過した後、すぐにクロスするように、夫の車がおじさんの横を走り抜けました。
大丈夫。絶対気づかれていない。

おじさん曰く、女との会話の最中だし
まさか、妻がこんな所にいるなんて思わない。

人間なんてそんなもん。
おじさん、妙に説得力あります。

それにしても、高速使うと速いのね。
それとも、方向音痴の私が駄目過ぎなのか…

おじさんも今夫を追うよりも
とりあえずは契約を…という事で、一旦今日の調査は終了。喫茶店に入る事にします。

「あれは無いね…あの女は無い。」

おじさんはタバコを燻らせ、自信満々に語ります。「俺なら嫌だよ。あんなの。」
いや、いや…あんたの趣味で語るんかい

「あれは仕事上の付き合いで、できてる男女とは違うよ。旦那全く笑顔見せてなかったし。
大抵愛人は女房より落ちるんだけどさ、あれは酷すぎだろ。100%無い‼️」
(今となれば…おじさん、
それがあったんだよな)

そこで、少し安心した私は時間制での契約とそのお支払いを済ませます。

おじさん一番高いコーヒー、私はブレンド
話好きなおじさん探偵と2時間近く世間話などをしていました。

携帯が鳴ります。
夫からです。

「今、お買い物〜?」
「そうだよ。パパは今どこ?」
「ウチだよ。今、子供達とテレビ観てるよー。
今日晩ごはん食べさせてー」
「はーい。パパの好きな物つくるね」

あのまま帰ったんだね。

今日は
この時間からが我が家時間…
そう決めてたんだね。

支払いを済ませて、おじさん探偵と
次回の約束をして喫茶店を出ました。

…にしても、おじさん❗️おじさんのコーヒー高すぎ。一杯2千円超って。
そうして私たちは喫茶店を後にしました。

その時
私達は、決定的なミスを冒してしまった事に気づくのです。

おじさん探偵と方向音痴

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