莉瀬は色白で長い脚を高く上げ、
こちらの顔面へ華麗に回し蹴りを決めた。
俺の名前は元宮 涼介。
彼女いない歴=年齢の、高校3年生だ
こんな自己紹介は少し虚しくも感じるが
事実だからしょうがない
それはそうと、俺には二人の妹がいる
…………
こいつは俺より一つ年下の妹、元宮 莉瀬。
高校2年生だ
兄の俺でもクラッとするくらい可愛くて、
おっぱいも結構デカイ
そして、スカートから伸びる綺麗な脚に、
細くて華奢な腰、キュッとしまった尻と、
スタイルも申し分無いんだが……
ちょっと、バカ兄!
兄を兄とも思わぬこの呼び方。
これで性格が良ければ完璧なんだが……
ねえ、聞いてんの?
邪魔って言ってんの!
えー、どけるのめんどくせえ……
ったく、早くどいてよ!
キーキーうるせえなぁ
は?
なんか言った?
何も言ってませーん
ウザ……
どっこらしょっと!
はいはい、どけましたよ……っと
何その言い方、むかつく
どいたんだから早く行けよ
行く気なくした。
アンタのせい
あっそ
二人とも……。
またケンカですか……?
こっちは二人目の妹、元宮 千雪。
末っ子で小学3年生だ
莉瀬とは違ってとても大人しく、
しかも頭が良くて素直で可愛い妹だ
千雪はつるぺたの美少女なので、
変な男に誘拐されないか
いつもヒヤヒヤしている
おにぃ……?
ボクをじーっと見つめて、
どうかしましたか……?
いやいや。
お前は莉瀬に比べて、
いい子に育ったなと思ってさ
何よそれ!
私へのあてつけ!?
おねぇ……。
落ち着いてください……
千雪は危ないから下がってて。
今日こそバカ兄を
蹴り飛ばしてやるんだから!
お、おねぇ……。
暴力は良くありません……
血の気が多いなあ。
……あ、わかったぞ!
何よ?
今日は二日目なんだろ?
それで妙にイライラし──
莉瀬は色白で長い脚を高く上げ、
こちらの顔面へ華麗に回し蹴りを決めた。
ぐふっ……
おにぃ、鼻血が出ています……
フンッ!
これで思い知った?
ホワイトの生地に、
ミントブルーのしましま……
…………?
何のことかわからずに首をかしげる千雪をよそに、
莉瀬のスカートを真っ直ぐに指す。
そして中央には、
サテン地のピンクのリボン!
莉瀬は顔を真っ赤にして、両手でスカートを押さえた。
み……見たの……?
見たっていうか、見えた
死ね変態!
このバカ兄!!
再び莉瀬に豪快な蹴りを食らった。
……2連コンボで。
第一話
『告白』
──学校。
いつつ……
(莉瀬に蹴られた所がまだ痛むぜ……)
なんだなんだ、どうした?
顔にアザなんか作って
こいつは魚住 洋平。
中学の時からの親友だ。
うちの妹たちのこともよく知っている。
莉瀬に顔面を蹴られた……。
家庭内暴力だ……
はははっ、冗談よせよ。
莉瀬ちゃんがそんなこと
するわけないだろ
お前は莉瀬の本性を知らないんだ……
はあ?
おはよう。
元宮くん、魚住くん
よぉーっす
お、おはよう
ふふっ
この、クラスで一番可愛い子は……。
いや、校内でもトップクラスの可愛い子は
柚木 紗登菜さんだ
うちの莉瀬とは違って優しい性格で、
女らしくておしとやかだし……
勉強も出来て、運動神経も抜群で、
非の打ち所の無いパーフェクト美少女だ。
まさに俺の女神!!
急に赤い顔して、気持ち悪りぃな……
う、うるせーバカッ!
ほっとけ!
──帰宅後。
ベッドで横になり、柚木さんのことを思い出していた。
(柚木さん、今日も可愛かった……)
コンコンッ
ねえ、バカ兄……。
入るわよ
ん? なんだよ
あのさ……。
バカ兄の友達の、
魚住さんっているでしょ?
ああ、洋平のことか
今週の土曜日に会おうって
メールがきたんだけど……。
バカ兄は誘われた?
ええっ?
俺はそんな話、聞いてねえぞ
そうなの?
どうしたんだろ、急に……
つーか、
お前らがアドレスを交換してたことすら
知らなかったんだが
えっ……。
私と魚住さんがメアド交換してたら
おかしい?
おかしくはないけどさ。
いつの間に交換したんだろうと思って
いつの間にって言われても……。
そんなの覚えてないわよ
覚えてない?
魚住さんって、
うちによく遊びに来てたでしょ?
その時に、
魚住さんから言われて
なんとなく交換したんだけど……
ふーん、そうだったのか……
(しかし洋平のやつ、
俺を無視して莉瀬だけ誘うとは
どういうつもりだ?)
(明日、学校で聞いてみよう)
──翌日、学校。
ちょっと莉瀬のことで
聞きたいんだけど……
莉瀬ちゃんのこと?
なんだよ
あのさ……
おはよう、二人とも
あ、おはよう
うっす
二人で何の話をしてたの?
いや、その……
こっちの話だから
あっ……。
ごめんね、お話の邪魔しちゃって
いやいや、こっちこそごめん
(ここでは話しづらいな……。
授業が終わってから聞くか)
──放課後。
……という話を聞いたんだけど、
なんで莉瀬を誘ったんだ?
そっか……。
莉瀬ちゃんって、何でもお前に話すんだな
そりゃ、まあ……。
兄妹だからな
じゃあ、
お前には言っておく必要があるな
何をだ?
俺さ……。
中学の時からずっと、
莉瀬ちゃんの事が好きだったんだ
ええっ?!
マジかっ!!
マジだ
全然気づかなかった……。
どうりで、
うちによく遊びに来てたわけだ
ずっと秘密にしてて悪かった。
打ち明けるタイミングを逃しちまって……
まあ、別に気にしてないよ
そっか!
それなら良かったぜ!
……で。
莉瀬を誘った理由は?
ああ、そうそう。
それなんだけど
高校に入って3年間経っても
気持ちが変わらなければ、
莉瀬ちゃんに告白しようと決めてたんだ
まさか、
告白するために土曜日に誘ったのか?
ああ、そういうことだ
うーん……
なんだ?
俺が莉瀬ちゃんに告白することに
不満でもあんのか?
そうだな……。
正直、兄としては複雑な気持ちだ
や、やっぱそうなのか……
でも。
他の男が莉瀬の彼氏になるくらいなら、
お前の方がずっといい
そっか!
サンキュー!
じゃ、俺は余計な事しないで
静かに見守ってる。
頑張れよ!
おう!
──土曜日。
あの……。
バカ兄は、本当について来ないの?
俺は誘われてねーもん
でも、私が魚住さんと二人きりで
会うのって、初めてだし……。
ちょっと緊張するんだけど
知ってるやつなんだから、
緊張する必要ないだろ
そういう問題じゃないでしょ
ほら、そろそろ家を出ないと
待ち合わせの時間に遅れるぞ
うん……。
じゃあ、行ってきます……
(背中を押したはいいものの、
莉瀬と洋平が上手く行くか心配だ……)
(そうだ!
こっそりついて行こう!)
待ち合わせの時間より少し遅れたため、
莉瀬は小走りで向かった。
ハアッ、ハアッ……。
魚住さんっ!
莉瀬ちゃん!
良かったー、来てくれたのか!
お待たせしちゃってごめんなさい……
気にしないでよ。
莉瀬ちゃんが来てくれただけで
すっげー嬉しいから
は、はい……
二人で遊ぶのが楽しみで、
昨日の晩は全然眠れなかったんだ!
そ、そうだったんですか
莉瀬ちゃんとデートできるなんて
夢みたいだよ!
あはは……
(洋平って、好きな女に対しては
こんなこと言うのか。
悪いけど、聞いていて寒イボが……)
えっと……。
これからどうしますか?
じゃあ、ちょっと食事してから
服とか見て……
──数時間後。
(ふぅ……。
他人のデートをながめる事ほど、
退屈なモンはないな)
(とりあえず、
莉瀬と洋平が上手くやれそうで良かった)
(問題は……。
告白してから、どうなるかだな)
今日はありがとうございました
こっちこそ!
付き合ってくれて、どうもありがとう!
それじゃあ、夕飯の準備もあるし
もう帰りますね
待って!
洋平が莉瀬の腕をつかんだ。
えっ……。
な、なんですか?
実は、莉瀬ちゃんに聞いて
欲しいことがあるんだ
莉瀬が瞳をキョトンとさせる。
何か悩み事でもあるんですか?
(我が妹ながら、鈍感すぎる……)
違うよ。
俺……中学の時から、
ずっと莉瀬ちゃんが好きだったんだ!
(よし、言った!)
えっ……?
だっ、だから俺と……。
付き合って欲しいんだ!
(莉瀬のやつ、
きっと顔を真っ赤にしてるだろうな。
どれどれ……)
え、えーと……
(なんだ?
困った顔をしてるぞ?)
実は私、好きな人がいて……
…………!!!
(俺が知らない間に、
莉瀬に好きな男が出来ていただと!?)
(その男……絶対に許さん。
見つけ次第八つ裂きにしてくれる)
だから、その……。
魚住さんとは、お付き合いできません。
ごめんなさい……
…………
(うわあ……。
こんな結果になると知っていたら、
背中を押さなかったのに……)
(本当にスマン、洋平……)
じゃ、じゃあさ……っ
えっ……?
──帰宅後。
莉瀬は、ぬいぐるみを抱いたままベッドに寝転がった。
(『気持ちが変わるまで、
ずっと待ってる』って言われても……。
そんなの困る)
(私はバカ兄が好きって……。
ううん、お兄ちゃんが好きって伝えれば
諦めてくれるかもしれないけど……)
(そんなこと言ったら、
絶対お兄ちゃんと魚住さんの
仲が悪くなるに決まってるよ)
(私のせいで、
お兄ちゃんが親友を失くすなんてヤダ)
ヤダよぅ……
ぬいぐるみをギュッと抱きしめて、
ベッドの上をゴロゴロと転がる。
そのぬいぐるみ……。
いつの間に買ったんですか……
あ、あんたこそ
いつの間に入って来たの?
だから、そのぬいぐるみ……
これ?
今日買ったのよ
(本当は、
魚住さんが買ってくれたんだけど……)
ズルイです……。
ボクも欲しいです……
…………
いいよ、千雪にあげる
えっ……。
本当にくれるんですか…?
うん……
嬉しいです……。
ありがとうございます、おねぇ……!
(魚住さんとの思い出が詰まってる物なんて
持ってられないよ……)
──翌朝。
(洋平、すげえ落ち込んでるだろうなあ。
洋平の気持ちを考えると、
朝飯が喉に通らないぜ……)
おかわり
ちょっ……!
朝から3杯も食べるの?
いい加減にしなさいよっ
うるせえ!
ヤケ食いしてるのは
誰のせいだと思ってるんだ
はぁ?
千雪が、スッと右手を挙げた。
あの……。
ちょっといいですか…?
何よ?
今日は予告していた通り、
お友達の家に泊まりますが……
あっ、そういえば
私も泊まりの予定だったんだ
そうか、今夜は俺一人か
一人でお留守番できますか……?
ガキのお前に心配されたかねーよ!
むぅ……。
ボクは子供じゃありません……
バカ兄なんかより、
千雪の方がずっと
しっかりしてるわよね?
おい、俺は小学生に劣るっていうのか
そうね
テメェ……
(そうだ。
今夜は莉瀬が家にいないなら、
洋平を泊めてなぐさめてやるか)
ドンヨリ……
はあ……
(うわあ……。
予想した通り、
メチャクチャ落ち込んでるな)
よ、よう。
おはよう洋平!
うーっす……
あー……。
い、いい天気だなあ
そうだな……
そ、そういえばっ。
今日は家族がみんな泊まりに行くから、
家に俺一人なんだよ
……それが?
良かったら泊まりに来ないか?
いや、いい……
それよりも、悪いけど今日は
俺に話しかけないでくれ……
あ、ああ
(重症だな……)
──昼休み。
昼だぞー。
飯、食わなくていいのか?
食欲が無い……。
ほっといてくれ……
(やれやれ、仕方ない。
屋上に行って一人で食べるか)
モグモグ……
今日は一人だよね?
えっ……。
柚木さん!?
一緒に食べてもいいかな?
も、もちろんっ。
でも……急になんで?
だって……。
元宮くんって、
いつも魚住くんと一緒にいるでしょ?
話しかけたくても、
全然入る隙が無かったから
今日がチャンスかなって思ったの
(うわああああ!
笑顔がメチャかわいいっ)
(俺の身に、
今まさに奇跡が起こっている!)
その後、柚木さんと談笑する内に、
将来の夢の話になった。
私ね、保育士さんになりたいんだ
へえー。
優しい柚木さんにぴったりだな
そ、そうかな?
ありがとう
でも、なんで保育士さんになりたいと
思ったんだ?
私、子供が大好きなんだ
毎日小さい子のお世話が出来るなんて、
とっても幸せだと思うの
(子供好きの世話焼きタイプなのか。
柚木さんらしいな……)
(優しい性格で、頭が良くて、
運動も出来て、しかも可愛くて。
好きにならない方が無理だよな)
柚木さんの胸をチラッと見る。
(その上、おっぱいも
柔らかそうだし……)
元宮くん?
どこ見てるの?
柚木さんが顔を赤くして、
恥ずかしそうに胸を隠している。
(しまった!
おっぱいを見てることに気づかれた!)
え、えーと……。
襟にゴミが付いてるのを、
教えてあげようと思って……
あっ……
柚木さんが制服の襟を手で払った。
勘違いしちゃって、ごめんね?
ははっ、別にいいよ
(危なかった……)
──あれから数週間。
昼休みを一緒に過ごしたことがきっかけとなり、
以前に比べて柚木さんととても仲良くなっていた。
……って、
莉瀬が食事中に言い出してさ
あははっ!
何それ、おもしろーい
本当、バカな妹で困るよ。
小学生の千雪の方が
よっぽど頭いいんだよな
元宮くんって、よく妹さんの話するよね
え、そうかな?
そんなつもりは無いけど……
妹さんと仲良しなんだね
はあ?
それは無い無い!
莉瀬とはケンカしてばっかだから
ふうーん……
な、なんで笑ってるんだよ
ん?
元宮くんと、
こんな風に話せるようになるなんて
嬉しいなって思ってたの
えっ……。
嬉しい?
前は、元宮くんって……。
私に対して何か緊張してる感じ
だったじゃない?
(そりゃあ、憧れの女の子だから……)
今は友達みたいに接してくれるから、
すっごく嬉しい!
はは……友達か
どうして苦笑いするの?
男としては見てくれないのかな……と、
思ってさ
…………
柚木さんは瞳を大きく見開き、驚いたような顔をした。
(何を言ってんだ俺!
柚木さんがビックリしてるだろ!!)
いっ、今のは聞かなかったことに……
……ちゃんと見てるよ。
男の子として
へっ?
好きじゃない男の子に、
わざわざ話しかけたりすると思う?
そ、それってどういう意味?
私の彼氏になって欲しい……
なんて言ったら、迷惑かな?
なんだよ、それ……。
罰ゲームか?
元宮くんの優しいところ、
いいなって思ってたのに……。
本気にしてくれないんだ?
じ、冗談ばっか言ってたら、
本気にしちゃうけどいいのか?
冗談じゃないよ
それとも元宮くんは、
好きな人がいるの……?
一瞬だけ、莉瀬の顔が頭に浮かんだ。
(なんで今、莉瀬を思い出したんだ?
アイツは関係ないだろ)
柚木さん以外に、好きな人なんかいない
えっ……
俺……。
柚木さんのこと、ずっと好きだったんだ
本当?
……嬉しい
柚木さんの瞳から涙が零れた。
なんで泣くんだ!?
好きな男の子が、
私の事を好きだって言ってくれたのが、
すごく嬉しくて……
(柚木さん……。
健気で可愛いな……)
柚木さんをそっと抱きしめる。
俺で良かったら、
彼氏にしてくれないか?
ありがとう……。
ずっと一緒にいようね…
ああ……
こうして柚木さんは、俺の彼女になったのだった。
■第二話につづく■
二人の妹が大変可愛くて、大変好みな御話です!
美人で性格も言うこと無い彼女が出来てしまって今後が心配……もとい楽しみです!!
感想ありがとうございます(*´・ω・)
冒頭では妹が暴れすぎな感があってうざがられないか心配でしたが、可愛いといってもらえて安心しました。
まだ最終話まで公開していませんが、お話自体は完結しているので途中で投げ出すことはありませんwので、よろしくお願いします!
コメントありがとうございます(ノд`*)
楽しみにして下さっているとのことで、テンションあがりました!
早く続きをお見せしたくでうずうずしてます!!
どうぞ最後までお付き合いください。
主人公がうらやましい。だが、読者がそう思えるのは、ひとえに女の子の可愛さが伝わってくるからだと思います。これからの展開で気になるのは、柚木さんですね。彼女と莉瀬ちゃんがどういう会話をするのが気になります。