…………ん?
………………
彼は……なんで、ここにいるんだ!?
ああ、もう……!面倒だな
王族が一人でうろうろするなんて……「どうぞ、狙ってください」って言ってるようなものじゃん
早く助け……
………………
助ける必要なんてない、王族は自分達の敵だ。助けたところで、何のメリットもない
そもそも、一人でうろついている彼が悪いんだ。あと、王族がいなくなったことにも気が付かない、護衛の無能さも悪いね
自分が助けなくても……自分は悪く、ない…………
…………
な、なんか凄い勢いで近づいて行ってる人いる……!?
もしかしてっ……
殿下っ!!
びっ……くりした。なんだ、ナギか
「なんだ、ナギか」ではありません、護衛もつけずに出歩かないでください
殿下はもう少し、"自身が王族であること"を自覚してください。貴方様は、いつ狙われてもおかしくない立場なのですよ
まったく、貴方様は昔から……
わ、分かった分かった。悪かったよ、黙って出歩いて
……本当に分かってらっしゃるのでしょうか?貴方様の日頃の行いを見ていますと、不安に思います
随分な言われようだな……
それより、ナギ。街中で「殿下」と呼ぶことは、禁止したはずだが
…………ぁ
た、大変申し訳ございません!!失念しておりましたっ!
しーっ、声がでかい
今は早朝だ、まだ寝ている者もいる。大きな声で起こしてしまっては、可哀想だ
うっ……返す言葉もありません
じゃあ、今回はお互い様ってことで。女王様達には内緒だ
うぅ……分かり、ました
なんだ、知り合いだったのか。良かっ……
クラウド?こんな物陰でこそこそして、どうしたんです?
フウル!?
ん?
ま、まずい……!!
え!?ちょっと、クラウド!?
……怪しい者ですね。追いかけて、処理しましょうか?
………………
いや、構わない。彼等は放っておけ
しかし……!
彼等は、害ある者じゃない。気にするな
大方、ナギの大声で駆けつけて来た野次馬だろう
ぅ……以後、気を付けます