そういえば……
フェンよ、レックスから長髪の男のことは聞いたか?
長髪の男?誰、それ
ほれ、昨晩の……
喧嘩をふっかけてきた、スカした笑顔の長髪男じゃ
あ、そうだった!
なんだかレックス、知ってる感じあったから聞こうと思ってたんだけど……
すっかり忘れちゃった☆
おいおい……
まぁ、こうして落ち着いて話す時間もなかったしの
レックス自身も、あの男のことを皆に話すことを忘れとったし……多分、今も忘れとるな
ワレで良ければ、あの男のことを話すぞ
そう言えば、ハヅキも何か知ってそうだったな
……昨日の奴と、お友達なの?
友達な訳なかろう
それじゃあ、知り合いなの?
知り合いというか……一方的に攻撃された仲じゃな
えっ……!?
大丈夫でしたの?
うむ、昨晩ほど過激な攻撃はしてこんかったからの
少しやり合って、すぐに退散したわ
少しやり合った、って……
あの男って、一体何者なの……?
やけに好戦的な男だったよな
……精霊アンチ、なんじゃないの
そんな…………バチが当たってしまいますわ、そんなの……
アンチだとしても、一般人があんな芸当……
…………
どうしたの、フェンおねーちゃん?
う、ううん!何でもない
彼も、僕達と同じ異世界人だったりしないのかな?
でも、近くにパートナーみたいな精霊はいなかったんでしょ?
例え精霊が傍におらんでも、能力に覚醒しておればいつでも力は使える
じゃが……そうだとしても、それらしい媒体は無かったの
媒体……?何なの、それ
アルドならばナイフ、レックスならば刀のようなものじゃ
能力に覚醒した異世界人は、媒体を通じて精霊と同等の力を使うことができるんじゃよ
近くで精霊がいて、影で工作していた感じもなかったしな
……レックスと同じ、なのかな
ワレ達が彼奴と初めて会ったのは、セキナで精霊のことを調べておる時じゃった
その時は普通に話したんじゃ……攻撃もされんかったし、むしろ友好的に接してくれとった
じゃが、別の日……セキナの遺跡周辺を調べっとったら、彼奴に会って、そして攻撃された
名前も何も分からんが……昨晩のことがあった以上、彼奴を見かけたら即退散すべきじゃな
まぁ、ワレ達が避けようとも、彼奴からは接触してくるじゃろうな
どうして……どうして、皆さん大神様や精霊を敬わないのかしら……
その考え方が、もう古いんじゃないのかな
伝統や仕来たりなんて、時間の流れと一緒に古びていくもんでしょ
ですが、ワタクシ達がこうして生きているのは……
あーはいはい、そこまで
話が脱線してるし、その話は重要じゃない
ふむ……精霊アンチかどうかはともかく、酒を交わして仲良く話せる仲にはなれんじゃろうな
……争いは嫌なの
そうじゃな……出来るならば、平和的に解決が望ましいの