■病院を出た。
■病院を出た。
病院の前の道路は
診察で来院する人たちの
車で渋滞で
青信号になっても
病院側の車線の車が
駐車場入口に
入れるだけ入ってしまうので
反対車線から右折の私たちは
いつまでたっても
入口に入ることすらできず
その間も
今どこにいるの!?
母からは
「まだか」「まだか」と
せっつかれ
午後なら５分もかからずに
駐車し終わっているところに
３０分以上かかって
それでも到着。
総合病院恐るべし。
駐車スペースが
残っていたことに感謝です。
病室に入って最初に見たのは
かつて赤文字が点滅していた
例の機械で
ただ
０が３つ
並んでいました。
……お父さんね、まだ温かいのよ
……
緩和ケアになるとお金が高くなるって思ったのかしらね
母はそんなことを
言っていましたが
真相は本人にしか
わかりません。
その後、
死亡診断書を書いたり
機械を外したりするから、と
言うことで
私と母は待合で待機。
今日仕事は？
今日は休み
お父さん、いっつもあんたが休みの時に何かあるわね
わざわざ休まなくて済んでよかったわね
……
その後
葬儀会社さんのあてはありますか？
遺体の引き取り先にあてがあるか？
と聞かれたので
会員登録したばかりの
葬儀会社に電話をし、
ご愁傷さまでございました
車の到着時間を
看護師さんに伝えました。
あてがなければ
病院が提携しているどこかを
紹介してくれるのだろうと思いますが
今は低料金が売りの葬儀会社もいろいろあるので、
『縁起が悪い』
とか言っていないで
事前に話だけでも聞いておくと
いざと言う時に気の持ちようが全然違います
そして
冷たいようですが
遺体の移動と同時に
置いてある私物も全て
引き払わなければなりません。
何やかやとエコバッグ複数枚は
必要になります
私物回収のために
病室に戻ると
あれだけあった機械類は全て
なくなっていて
……機械全部なくなってる
父の顔の上には
ドラマでよく見かける
白くて四角い布が
被せられていました。
それから
死亡診断書は何通作りましょうね
コピーでも大丈夫なところもありますけど
遺産相続の書類と一緒に
銀行に出したりします
返してくれるところもありますが
手続きを同時進行するなら、数部あったほうがいいです
……じゃあ４部くらい？
４部くらい？
口座が４つあったので４部作りました
死亡診断書を受け取り、
お迎えが来たので下に移動しますね
来院者用ではない、
スタッフと入院患者しか
使えないエレベーターで
地下の車寄せまで移動。
私と母も
ナースステーションに挨拶した後、
私物の入った袋を抱えて
付いて行きます。
個室病室くらいの
大きさの部屋がありました。
壁の１面は
大きく開くようになっていて
ストレッチャーごと霊柩車に
運び込めるように
段差のない作りになっていました。
葬儀会社の方２人と
看護師さん２人で
私も頭を支える程度の
お手伝い参加はしましたが
と言うか、その程度しか手が出せませんでした
遺体を
葬儀会社さんのストレッチャーに
移動。
霊柩車に運び入れ、
母も一緒に乗り込み、
出発していきました。
それを頭を下げて見送った後、
正直、私が一緒に頭を下げるのかは
わからなかったのですが、
下げて減るものでもないと言うか
「葬儀会社さん運んでくれてありがとう」的な意味で下げたってことにすればいいや、と
先ほどのエレベーターで
１階に行き、
ありがとうございました
看護師さんたちと別れ、
死者の私物を両手に下げて
生きている人々（来院者）が
大勢行き交う正面ロビーを抜け、
……
車に乗り込み、
葬儀会社に向かいました。
途中、
折り畳み傘が残っていたので取りに来てください
と、病院から連絡が入り、
十数分前には
もう戻って来ないつもりで
挨拶までしたナースステーションに
戻る羽目になって
今どこにいらっしゃいますか？
葬儀会館の場所わかりますか？
今度は葬儀会社さんから
電話を頂いた挙句、
遅かったわね。何してたの
あなたが忘れて行った傘を取りに戻らされただけですが!?
なんてやりとりがあったのも
ここだけの話です。
