暗い部屋の中で、何者かが裸足で近づいてくる音がする。

花木 聡一

だ、だれかいるんですか!?

花木 聡一

桜さんのご家族の方ですか?僕は…

足音が止まったと思うと、自分が横になっていたベッドの周り歩き始めた。

花木 聡一

わッ!?ちょっと、それ本当に怖いんでやめてください

ドアが閉まる音がして、何者かが去っていく音がした

花木 聡一

な、なんなんだここ。桜はどこにいるんだ?

頭の中で疑問が錯綜する

花木 聡一

考えても始まれないな…とりあえずここにいちゃいけない気がする

ベッドから起き上がると、ポケットに入っていたスマホの明かりで辺りを探る

花木 聡一

うわッ

花木 聡一

なんなんだこの手の跡…

無数の手の跡が壁のいたるところについている

花木 聡一

この部屋変だ…不気味すぎる

花木 聡一

とりあえず桜を探そう

花木 聡一

ずいぶん広いな…。桜を呼んでもいいんだろうか?

百目鬼 牡丹

目を覚ましたのね

花木 聡一

わッ!?いつの間に後ろに…

百目鬼 牡丹

ごめんなさい、驚かすつもりはなかったの

花木 聡一

君は桜の妹?もしかしてさっきのも君だった?

百目鬼 牡丹

何のことかわからないけど、貴方はこの家から早く出ていったほうがいい

花木 聡一

どういう意味?

百目鬼 牡丹

あなたのことを良く思っていない者がいるの。だから危ないの

花木 聡一

危ないってそんな…。せめて桜に会いたいんだけど

百目鬼 牡丹

桜姉さんはさっきいなくなってしまったわ。今この家であなたを守ってくれる人はいない

花木 聡一

ちょっと待って、いなくなったってどういうこと?

その刹那、悪寒が背筋を走った。
桜といた時にもあった、何かに見られているような感覚ある。

百目鬼 牡丹

とにかく、悪いことは言わないから、早く出ていって!…兄さんが、柏兄さんがやってくるわ…

そういうと少女は足早に廊下の角を曲がっていく

花木 聡一

待って!まだ聞きたいことが…

百目鬼 牡丹

柏兄さんはもうあなたのことが見えている!

花木 聡一

い、いない…

花木 聡一

ま、まただ。また誰かに見られている気がする…

花木 聡一

なんとなくだが、このままここにいちゃいけない。とにかく、ここから離れないと…

誰かの足音が近づいてくる。思わず、足音とは反対方向に静かに進む

花木 聡一

よし、あの部屋に隠れよう

つづく

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