この場所を去る前に、荒れ果てた庭に小石で塔を築く。

ごくろうさまです。

次の任務は……。

分かった。


 耳に響く無機質な声に、捺(なつ)は小さな声を返した。

 『禁域』を無くすことは、世界の悲願。

 任務の遂行が、捺の生きがい。

 だから。

君と一緒には、行けない。

 小さな塔に、捺はそっと手を合わせた。

第32話 君を残して、次へ

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