……!


 呻き声と共に、微睡みから目覚める。

……。

 空虚なこの家に居るのは、尤(ゆう)一人。

 ……いや。

……。

 階下から漂ってきた御飯の匂いに、安堵の息を吐く。

 一人じゃない。両親からの依頼で尤の世話をしに来てくれた捺(なつ)が居る。

 一人じゃない。

……。

 再びの睡魔が、尤を襲う。

 ベッドに横たわると、尤は小さく息を吐いた。

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