この世界では、季節はゆっくりと巡っている。

……。


 葉を落としきった、玄関を守る二本の木を見上げ、白い息を吐く。

 『大災害』の所為なのだろう、捺(なつ)が所属する世界は、夏と冬が六ヶ月ごとに交互に来る、ある意味分かりやすい世界。

移ろいゆく世界も、良いのかもしれない。


 捺は小さく微笑んだ。

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