あまり良くない状況だ。そう感じても間違いない。

 友達と別れ適当に街を歩き探している最中だった。藤松、凪沙、久賀の三人の前に紫色の長い髪をした女性が現れた。その女性は恐ろしく逃げ出したいと思えるほどだった。

 危機を感じ立ち去ろうとすると女性は三人に向けて話しだした。

???

君達がノイズなのかな……うーん、違う、どうなっている。ノイズがいないのはおかしいかな

 ……ノイズ?

 この場合のノイズとは音に関する雑音の意味と捉えるべきか判断に難しい。どちらかと言えば女性は物を探しているように見えた。

 納得のいかない様子の女性は三人を凝視している。

???

あの三人もこの三人もノイズでもない。絶対にノイズが要るはずなのに……どうして居ないのかな

 三人の様子を伺いしばらく見て女性は不満そうにしている。女性が言うノイズが居ないことに納得がいってないようだ。

凪沙新吾

藤松くん、どうしよう僕、怖いよ……

藤松紅

凪沙……

 凪沙の言う通り恐ろしくて仕方なかった。しかし、藤松は勇気を出して一歩踏み出して質問を投げる。

藤松紅

その、あんたは何を探している。ノイズって何だ

 女性は藤松に気付き顔を会わせる。合わせるとより恐ろしいと感じてしまう。

???

少年が気にする事ではないかな

???

君達がノイズでないなら。もう興味がない

 冷めた声でやる気のなさを感じた。目的が外れたように残念がっている。女性はぶつぶつと言葉を発して歩き出した。

 藤松を無視して通り過ぎた。後ろに要る凪沙と久賀も同じく通り過ぎる。その様子を三人は目で追った。興味のないと言ったがまるで相手にされてない。まるで元から居ないような扱い方だった。

 その扱いが気に入るはずがなく藤松は怒りが湧いた。

藤松紅

待てよ。俺はそこら辺の小石じゃない。無視してるんじゃねぇぞ

 ピタリと足を止め後ろを振り向いた。

???

無視してるんじゃない必要がないだけかな。人間

???

必要以上に話しかけるな。私はノイズが見つからなくって機嫌が悪いぞ

 明らかに伝わる殺気が伝わる。

 これはヤバいと誰も痛感した。人と思えない瞳に恐れ体が固くなってしまう。

藤松紅

お前は……何者なんだ

???

私に会う人間は良くその質問をするよ。知っても意味なんて無いのに

 女性は三人を見つめ指を指した。すると女性の影が液体のように浮かび人の形を作り始めた。完全にアンノンとなった。

アンノン

……

 アンノンはピクリともせず立っているだけで襲いに来る様子はなかった。

???

思考パターン、行動パターンを変更、三人を抹殺せよ

 そう言い残し女性は背を向けて歩き出した。するとアンノンは動き出し近くに居た久賀と凪沙を目掛けて腕を伸ばした。

 素早く伸びる腕は久賀を掴もうと迫る。

 咄嗟に久賀は伸ばされた腕に反応して手にした金属バットで振り下ろした。伸ばした腕は金属バットに弾かれ地面に叩きつけられた。

久賀秋斗

うちは前衛で戦うキャラじゃないっつーの

藤松紅

大丈夫ですか久賀先輩

 藤松は久賀に近づき安否を気にした。久賀は叩きつけた時に痺れたのか手をぶらぶらと降っている。藤松は金属バットを代わりに受け取った。

 木製ならまだしも重い金属バットを勢いよくぶつけたんだ。痛いに決まってる。また俺のせいで迷惑をかけてしまった。

久賀秋斗

うん、全然大丈夫、いやー護身用で持っててよかった

 久賀はアンノンから目を離さずに二人に伝える。

久賀秋斗

いい、後輩ちゃん。動ける動けるよね

久賀秋斗

合図をしたら逃げるよ。OK?

 反対することもなく藤松と凪沙は頷いた。

アンノン

……

 アンノンは伸ばした腕を一瞬で元の位置に戻すと両手を前に出した。それを見て久賀は大きな声で逃げろと叫んだ。

 叫ぶと同時にアンノンの指が伸びて小さは手に変わった。十本の小さな腕が三人に向けて飛んできた。

藤松紅

おい、それは反則だろ

久賀秋斗

うわっキモ、キモいんだけど

 とにかくアンノンから離れた。全力で逃げないとどうなるかわかったもんじゃない。

 三人は息が切れようと逃げた。

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