生気を感じさせない白く透き通った肌に考えが読めない表情は人間らしさを感じさせなかった。ムラサキと名乗る女性は何者なのか鮫野木達と同じように裏の世界に迷い込んだ人と願いたい。

 得体の知らないムラサキに紗良は立ち向かった。何を考えているか分からない人を相手するのは紗良でなくても難しい。そんな心情など知らずにムラサキは話した。

ムラサキ

君達はここに友達を探しに来たようだけど。何故、ここを探そうとしたのかな

ムラサキ

ここは何も無いところだ。友達はこんなところに来るのかな

六十部紗良

それは単純よ。私達は展望台に行く途中なの、ほら、頂上にあるでしょうあの展望台

六十部紗良

展望台に行けば上からはぐれた友達を見つけられると思ったのだけど

六十部紗良

何かまずいかしら?

 平然と本当のように答えた。あくまでちゃんとした目的があるように嘘をついた。

 本当の目的を話すとまずいと判断をした。目の前に居る人は野沢心を知っている。母親かと思ったが違う。野沢心と関係している人物だが関係性と分かるのは餌としてノイズを探そうとしている関係だ。

 ノイズがどのような意味を指しているか不明だが餌つまり囮として野沢心を利用しているそんな関係。思い付く先は犯罪の匂いしかしなかった

 ムラサキに野沢家に行くと言えば危険と感じた結果、紗良は嘘をつくことを選んだ。

ムラサキ

ああ、天辺のあそこか別に行ってもいいかな

ムラサキ

けれど、万が一君達があそこに行かないとも限らないかな……うん、駄目かな

 一瞬は登ることを許したがムラサキは何か危機を察してか登ることを許さなかった。

ムラサキ

素直に引き返してくれないかな。私はそこまで暇じゃないかな

六十部紗良

どうしても駄目なのかしら?

ムラサキ

一度言われたことは素直に聞くべきかな。人間

 この人の威圧は本当に恐ろしかった。逆らってはいけないと直感が働く。鮫野木は紗良の方を掴みムラサキに話した。

鮫野木淳

どーもサーセン俺達は別のところで探しますね

鮫野木淳

さてさてさーて次は何処を探そうかなー

 俺は二人を連れてこの場所から強引でもいいから離れようとした。関わってはいけない。そう思ったら行動に出ていた。

 そそくさと二人の手を引っ張って遠くに離れようとした。そんな情けない姿を浮かべている俺にムラサキは鼻で笑う。

ムラサキ

面白いな君は

ムラサキ

君みたいな人間は嫌いじゃないかな

 そう言われたが後ろを振り向かず鮫野木達は緋山の入口まで降りた。

 降りてから後を確認して追ってきていないことが分かった。安心したところで現状を整理した。まず、第一の目的であった野沢家に行けなかった。それに加え恐ろしい人と出会ってしまった。

 まるで人と思えないムラサキの風格は一体、何なんだろか。口調も変わっていて鮫野木達のことを人間と呼ぶところが何だか奇妙だった。

 これからどうするか少し時間が必要だった。とにかく落ち着く場所に移動したい鮫野木は雪音と紗良に提案を出した。

 その提案に二人も納得して公園に行くことになった。

 公園に着くと別れた藤松と凪沙が居ないか確認したが二人の姿はなかった。そう上手く事が運ばないかと落ち込んでいたら雪音が俺に訪ねた。

小斗雪音

淳くんは大丈夫なの? 私は怖くて何も話せなかったけど変に刺激して目をつけられてないかな

鮫野木淳

あれか……流石にわざとすぎたか

鮫野木淳

まあ、大丈夫だ。追ってきてないようだし

 俺は雪音を安心させる為、近くにあった段差に片足を乗せて「もう何も怖くない」と遠くを見つめてかっこつけた。

 雪音が心配しているのは去りぎわのことだ。俺も少しやりすぎたと思っているが心配はないだろう。

小斗雪音

私は心配だよ。だって普通じゃないよ

鮫野木淳

確かにそうかもな。一体何者なんだ……

 緋山で出会ったムラサキという普通ではない女性に不気味と感じ二度と会わないように祈った。あんな体験は二度とごめんだった。

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