ハヅキ

ふむ、やはりアルマのホットミルクはいつ飲んでも美味じゃの♪

ネネ

ええ、本当に。毎朝ありがとう、アルマ

アルマ

どういたしまして、そう言ってもらえると嬉しいよ

ルーク

レイスは二度寝しちまったが……アルドに説明をするためにも、一度現時点で分かっていることを確認しておいた方が良いと思う

フェン

そうだね、もしかしたら何か忘れているかも

ルーク

フェンは忘れっぽいからな

フェン

えへへ、それほどでも~

ルーク

褒めてないし、その手に持つフライパンを下ろせ!!

レックス

あ、あはは……

レックス

さて、アルド君にヒナタちゃん

レックス

この世界にようこそ、"選ばれた異世界人"に"守護する精霊"

アルド

選ばれた、異世界人……

ヒナタ

アルドを守るの♪

レックス

とりあえず、この世界のことだけど……実を言うと、俺もそんなに分かっていない

レックス

"想造の村"セキナで調べた神話くらいにしか、このセカイに関することが書かれていなくてね

アルド

想造の村、セキナ……あれ?

アルド

確か、ネネさんの出身地だっけ?

ネネ

あら?よく分かりましたね、アルドさん

アルド

昨日レイス君と二人で話してる時に、聞いたんだ

ネネ

そうでしたの。アルドさんの仰る通り、ワタクシはセキナからこの街に来たんです

レックス

それじゃあ、ここはネネちゃんに神話の説明をお願いしようかな

ネネ

はい、お任せください

昔むかし、気の遠くなるほどの大昔。
人が、動物が、モンスターが、獣人が生まれる
ずっとずっと前のこと。

ひとつの"何か"がありました。
"何か"は、どこまでも広がる空間を
いつまでも彷徨っていました。

「この先には何かがあるのか、それとも無いのか」
「"自分"は何者かなのか、何者でも無いのか」
繰り返す自問も数えられなくなった頃、
"何か"は気付きます。

それは、4つの微かな光でした。
4つはゆらゆらと、"何か"と同じように
空間を彷徨っていました。

「"自分"だけではない」
「"仲間"がいる」
"何か"は4つの光に強く惹かれ、
ゆらりゆらりと彷徨い近付きます。

"何か"は4つの光と合流し、
"仲間"であることを説明しました。
そして永遠に彷徨わずに済むように、
"箱庭"をつくることを決めました。

どこまでも広がる空間に、
ポツンと"箱庭"だけが存在します。
それは、とてもとても虚しい光景でした。

それを寂しく思った4つの光は、
"何か"のためにその輝きを失う覚悟をします。

1つの光は、
"箱庭"に燃え上がる火を。

1つの光は、
"箱庭"に潤いの水を。

1つの光は、
"箱庭"に吹き荒れる風を。

1つの光は、
"箱庭"に力強い地を。

4つの光のおかげで"箱庭"はセカイとなり、
生命が循環する環境となりました。

火、水、風、地。
それらを生み出した4つの光は、
その輝きを失って
"仲間"である"何か"の中で眠りました。

4つの光が持つ性質を"何か"は受け継ぎ、
やがてセカイである「プラヴダ」を統べる
"大神様"となりました。

"大神様"は4つの光が作り上げたこのセカイを愛し、
ずっとずっと天の方から見守っているのです。

ネネ

"大神様"はいつも皆さんを見守っています……悪いことは、しちゃダメですよ?

レックス

うん。説明ありがとう、ネネちゃん。助かったよ

アルマ

……ま、神話って言っても子供向けの童話みたいなものさ

アルマ

ボクもこの程度しか知らない。本当に、この世界に関する情報が少ないんだよ

アルド

4つの光と、大神様……

ヒナタ

えっと……結局はその、大神様?っていうのは、ひとりぼっちになったの?

ヒナタ

せっかく……仲間を、見つけたのに?

ネネ

ええ、大神様は最後にはひとり……

ネネ

でも、その心の中には4つの光が眠っているの。だから、いつでも仲間と一緒よ

ヒナタ

……そっか

ルーク

………………もしも

ハヅキ

?なんじゃ、ルーク

ルーク

いや、もしもの話……というか、ほぼほぼありえない話ではあるんだけど

ルーク

その"大神様"が生きていたら……"人間"としてこの世界に生きていたら、って考えて

ネネ

ルーク様。"大神様"は、言わばこの世界の創造主ですわ。そのような仮定自体が……

フェン

ううん。正直、私もそれ考えたことあるの

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