頭上に太陽が昇る頃、とある校庭にメガネを掛けたギャルがニヤついていた。思いもしない発見をして居ても立っても居られないでいた。

 ギャルはスマホを取り出して連絡をしようとしたが連絡が出来ないことを思い出してやめた。その代わりに黒い液晶を除き金髪に染まった癖のある髪を撫でて髪型を正した。

ギャル

ウシ、完璧っとあとはサラッチに会うだけっと

 ギャルは金属バットを手に取り校舎に向けてテレビで観たことがあるホームラン予告のポーズをした。

ギャル

ウシ、今日も生き残りますか!!

 空に向けた金属バットが反射して眩しい。咄嗟に目を閉じてバットを下ろした。閉じても丸い光が残像として残っていた。

ギャル

うっ

ギャル

ハハッ眩しいな、オイ!!

 ギャルは金属バットを野球少年のように肩に乗せて校庭を出ていった。

 適当に街を歩き回っていると住み慣れた街とよく似ているが所々違う部分が見つかる。

 知らない家があったり道が違ったりしている。最初に駐車場だった場所が知らない店だった時は胸が踊った。新しい発見をするたびに緋物市ではない裏の世界を知れてますます興味が湧いていた。

ギャル

この辺は見てないっすね

ギャル

おや?

 遠くから走ってくる二つの人影に身構えた。近づいてくる様子を疑うと緋物学園の男子学生服を着た二人組が慌てているようだった。

 まるで何かから追われ逃げているように走っている。

 ギャルは初めての人に出会い嬉しさ全開で駆け寄った。

ギャル

おいおいおい、びっくりした。緋園かよ。君ら何年生? うちは三年なんだけど知ってるって知らないか

藤松紅

……いや、その、あなたは?

 余計に話しかけたせいか動揺しているようだった。久し振りに話せる人と会えて興奮していた事を反省してちゃんと自己紹介をする。

久賀秋斗

いやーごめん。うちの名前は久賀秋斗(クガアキト)緋園の三年A組、よろしく!

藤松紅

ああ、俺は藤松紅です。俺達も緋物学園で二年です

凪沙新吾

始めして僕は凪沙新吾です。あの、それは?

 凪沙は久賀が握っている金属バットを指差した。

久賀秋斗

これ? ただの護身用ってやつ、アハハ

 久賀は自慢げに金属バットを時代劇の侍のように構えた。

ギャル

これも運命の出会いってやつか!

凪沙新吾

運命の出会い?

藤松紅

何じゃそりゃ?

久賀秋斗

細かい事、気にするなって!

久賀秋斗

そんな事より、何かあったの追われているようだったけど?

 藤松と凪沙は思い出したように後ろを確認した。どうやら何事もないらしく落ち着きを取り戻した。

 二人の様子を見て秋とは提案をした。

久賀秋斗

もしかしてアンノンに襲われた。あれ影みたいで暗いところにいたら分からなないよね

藤松紅

まてまて、あれを知ってるのか

 藤松の驚いている様子を見て軽く説明を加えた。

久賀秋斗

知ってるっていうか名付けたって感じ?

久賀秋斗

暗いところ居るんだよね。ああいう路地裏とか

藤松紅

あの、詳しく教えてくれませんか

久賀秋斗

オケオケ、何でも教えてあげるよ!

 久賀は裏の世界について教えてからアンノンについて独自の解説をした。

 アンノンは明るい場所では動きが鈍る事、逆に暗い場所では素早く動ける事など伝えた。その事を聞いて初めは驚いた二人だったが説明を聞くたびに状況を飲み込んでいった。

 最後にアンノンは裏の世界にとってシステムみたいな事を教える。

久賀秋斗

つまり人間と違って考えて動いてないの、どちらかと言えばアンノンは決められた動作しかしないんだなー

藤松紅

何で分かるんだ。幽霊とかじゃなくシステムなんてゲームじゃないだろ

 藤松の言い分も分からないことはなかった。久賀も最初は幽霊か何かと思っていた。

久賀秋斗

それはねー見せた方が早いかな

 藤松と凪沙に証拠を見せる為、久賀は適当に暗い裏路地に入っていった。二人は久賀を追って裏路地を覗いた。

藤松紅

おい。大丈夫なのか。さっき暗い場所は危ないって言ったばかりだろ

凪沙新吾

そうですよ。久賀さん危ないですよ

久賀秋斗

あーもう、二人共優しいなぁ

久賀秋斗

でもOK! 心配いらないって二人はそこで見てな

 うちは余裕の表情を浮かべアンノンが出てくるのを待った。

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