少しでも俺は知りたかった。今までに常識ではあり得ないことが起きすぎているからだ。そのせいで藤松に当たってしまい中が悪いまま新吾と共に別れてしまった。

それは俺が裏の世界に怖くなっていた原因だ。だから知らなくてはいけない。

六十部紗良

そうね……知っている事ね

 静かな病院で紗良は足を組み裏の世界について話し出した。

六十部紗良

私はある人から依頼を受けて廃墟に来たの、それは言ったわね

鮫野木淳

はい、それは聞きました。けど、依頼って探偵みたいな事するんですね

六十部紗良

みたいじゃないわ。私は探偵よ

鮫野木淳

はぁ、探偵? 探偵!?

 当たり前でしょうと言わんばかりの表情をしていた。紗良は首を傾げる。

六十部紗良

言わなかったかしら?

鮫野木淳

言ってませんよ

 記憶を呼び起こしても紗良が探偵と名乗ったことはない。わざとらしさが無い所、嘘ではないようだ。

 なんとなくだが六十部先輩が分かってきた気がするぜ。

 雪音は探偵と聞いてある噂を思い出した。

小斗雪音

あっ、思い出した。三年生に名探偵がいるって聞いたことがあったけど六十部先輩なんですね

六十部紗良

そうね、名探偵ではないけど

鮫野木淳

おいおい……マンガかよ

 高校生探偵なんて漫画ぐらいしかしらないぞ。本当に居るんだな。

六十部紗良

漫画ね。ここが漫画みたいな場所よね

鮫野木淳

……そうですね

 現実ではあり得ないことが起きる裏の世界は漫画みたいではある。しかし冗談としては面白くなかった。

鮫野木淳

それはそうと依頼ってなんですか? 廃墟なんかに何を調べに来たんですか

六十部紗良

それは言えないわ。守秘義務なの

六十部紗良

だた、依頼のせいでここに来てしまったわ。そう、常識外のことが立て続けに起きたわ

 紗良は裏の世界で体験した事を話した。まず、裏の世界は緋物市にそっくりだった。所々建物や道が違っている。だが、市の案内板を確認したら緋物市そのものと変わりない事がわかった。

 それと緋物市から出ようとしても出れないことが分かった。どんなに歩いても同じ場所に戻ってしまう。

鮫野木淳

廃墟が家になっているものもK・S記念病院があるのもここが緋物市だからか、良く調べましたね

六十部紗良

一日もあれば調べられるわよ。それに一人ではなかったから

 雪音は紗良の表情を覗いた。思った通り表情は何も変わっていなかった。

小斗雪音

確か秋斗さんですよね

六十部紗良

ええ

小斗雪音

秋斗さんとどうして別れてしまったんですか?

六十部紗良

そうね、昨日の事よ。夜に町中を歩いていたら影、秋斗はアンノンって呼んでいたわね

六十部紗良

いつの間にかアンノンに囲まれて逃げるために秋斗が囮になってくれて逃してくれたわ

六十部紗良

まぁ、元気にしてるわよ

小斗雪音

……そうですか

 雪音は秋斗について質問をすると紗良は一瞬も悲しそうな表情を見せずに答えた。雪音は紗良が公園に向かう前に言った言葉を思い出していた。

 どうして六十部先輩は信じていられるのかな。心配なはずなのに冷静で落ち着いている。冷たいように見えるけど実際は違う。信頼してるからなの?

 雪音は紗良から目線を逸した。

六十部紗良

そうね。アンノンについて話してなかったわね

六十部紗良

もう分かってると思うけど日の下ではゆっくりと動けないけど影、暗闇だと素早く動き腕を伸ばせるようになるわ

鮫野木淳

その、アンノンって何者なんですか

 紗良は首を振った。流石に知らないようだ。

六十部紗良

私は分からないわ。けど、秋斗は霊とかじゃなくてシステムみたいなものって言っていたわね

鮫野木淳

システムねぇ……

 秋斗さんはアンノンの正体をシステムと考えている。どういう意図でシステムなんだ。秋斗さんってどんな人なんだろう。六十部さんみたいに頭の良い人なんだろうか。

六十部紗良

最後に裏の世界に人は居ないわ。私達を覗いてね

鮫野木淳

――いや、一人居ますよ。女の子が

六十部紗良

他にも居たの?

鮫野木淳

その、廃墟、じゃない廃墟だった場所に住んでいるって言っていたんですけど……

六十部紗良

驚いたわ鮫野木くん。この裏の世界に人が居たのね

 驚いたと言っているが紗良は笑っていた。静かに血が騒いでいるように見えた。

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