まるで長い夢から覚めたようにベッドから起き上がった。ぼやけた頭を抱えながら美野はテレビの電源を入れた。
さて、ついに私は過去を変え未来を作る一歩を歩みだしたわけだ
謎の少女柊七日(ひいらぎなのか)の正体は何者なのか
まぁ、ここで話してもいいが味気ない
この先、いくつもの経験をする事になるがそれはまだ話さないでおこう
では、余り長くなってもいけない
続きを話そうか
まるで長い夢から覚めたようにベッドから起き上がった。ぼやけた頭を抱えながら美野はテレビの電源を入れた。
電源が入って美野は過去に戻った事に気づいた。
私は柊七日と手を組んで私は過去に戻ってきた。今回は過去を変えて未来を決める方法を知っている。
天気予報が流れてた。日付を確認した美野は協力者に異能力の使い方を教わる日だと知った。
その五日後、古い神社に向かい蒼依慶彦(アオイヨシヒコ)と出会い境界の管理人の一員になり異能力者を集めたAnotherに身を置くことになる。
何故か情報が漏れていたようで思いたくはないが裏切り者がいるようだ。
これから起きることを思い出しながら美野は朝ご飯を用意し始めた。
七日ちゃんは合図があるまで普通に過ごせと言われたけどこれでいいのかな?
思うことはあったが美野は朝を普通に過ごすことにした。朝ご飯も済ませても柊から合図はなかった。
普通に過ごせ……か
何もないまま時間が過ぎ協力者が運転する車に乗り山奥に向かっていた。
車で片道一時間掛かる道のりを隣で美野は大人しくしていた。
ラジオが流れる車内で協力者は口を開く。
お前、怖くないのか
俺は変な能力を使う、世間じゃ抵抗組織境界の管理人ってことになっているんだ
何で仲間に入りたいなんて言ったんだ?
言ったじゃないですか
自分の異能力が知りたいって
前も同じ返事をしたのだが随分前のように感じていた。過去に戻る体験をしないとわからない気持ちだ。
そうだったな。でもいいのか
はい。もう、帰れないんで
爆破テロを阻止した直後、警察が集まり五十嵐の異能力を使い遠くに逃げた。離れた場所で私は過去に戻って爆弾の場所を知っていたことを伝えた。信じてもらえるか不安だったが協力者さんと五十嵐さんは驚いた様子で直ぐに異能力だと教えてくれた。
そして自分達が境界の管理人と告げた。二人は爆弾を仕掛けた組織が門の教団の仕業だと知り爆弾を探していた。
私は異能力のことが知りたくなり仲間にして欲しいと懇願した。そして私は協力者に異能力の使い方を教えてもらった。
実は二度目なんですよ
……二度目?
はい。異能力を使って過去に戻って来たんです
――未来で何かあったのか
……信じるんですね
協力者は驚く様子もせず運転に集中していた。どちらかと言うと美野の方が驚いていた。この頃の協力者に異能力を使えると思っていないからだった。
当たり前だろ。俺が教えるんだ。いや、教えたのか
それじゃ約束もしたんだな
協力者の言う通りだった。本来なら三日間、異能力を使えるようになるまで付き添ってくれた。異能力が使えるようになって約束をしていた。
協力者が言うまで約束をすっかり忘れていた。約束を思い出した美野は涙が溢れる。
異能力を使う時は協力者に聞くでしたね……
でも、私……約束……破ちゃいました
あの時は色んなことが起きていて約束なんて思い出す暇はなかった。その後も必死に過去に戻って約束を忘れていた。
いいんだ。守れない状況だったんだろ。仕方ない
協力者は優しく声をかけた。
余計に涙が溢れてきた。美野は流れる涙を手で拭った。悔しかったのか嬉しかったのか正直わからない。自分でも何故泣いているのかわからなかった。
美野は落ち着くまで泣き続けた。