公園から鮫野木と雪音が居なくなった。頭を冷やしたいと鮫野木が何処かに歩いので雪音が心配をして付いて行ったからだ。

 十分したら帰ってくるようで藤松と凪沙は公園で待つことになった。

 藤松は自分に責任を感じているようで一人、目を閉じてベンチに座っていた。

 自分のせいで裏の世界に来てしまったと思っているのだろう。けして藤松だけが悪くないのだが鮫野木に言われた通り最初に廃墟に行くと提案したのは事実だった。思う所があり責任を感じている。

凪沙新吾

今はこう亀裂が入っているけど共に戻るよね。みんなと一緒に居る時みたいに

藤松紅

……

 そんな藤松を見つめる凪沙は一つ隣のベンチに座っていた。話しかけるタイミングがわからなかった。

 頭冷やしてくるから話しかけない方がいいよね。

凪沙新吾

こんな事、今までなかったのに……

 藤松の様子を見ながら凪沙はある日の事を思い出した。

凪沙新吾

そう言えば、転校してから一年経つのか

 去年の三月に僕は親の仕事の都合で緋物市に引っ越してきた。急な引っ越しに不安で緊張もしていた。知らない街で初めての高校生活は上手くいくかなんて考えていたな。

 ――高校生になって初めての授業が始まろうとしていた。周りは中学生の頃、同じ学年だった生徒達が話してたり近くの席の生徒と話してたりしていた。

 僕はと言うと縮こまって上手く話に混ざれないでいた。

 そうこうしている内に担任の先生が教室に入ってきた。

 緋物市立緋物学園一年二組の担任の先生は背が低く幼く見えた。体よりサイズが大きい白衣を着て教壇に立った。

 幼い見た目に生徒達は可愛いやなどと和気あいあいとしてた。

鬼灯先生

おーい聞け。私が一年二組の担任になった鬼灯だ。科目は理科だ。科学部の顧問もしているから気になったら来てくれ。まぁ、なんだ。一年間宜しく頼む

鬼灯先生

ただな……人が話している時は私語禁止だぞ

 注意しても相変わらず私語が続いた。今となって鬼灯先生は怖い先生と知っているので私語なんてしてはいけない。

 そんな未来の事なんて知らない生徒に鬼灯は簡単に校則を教え生徒達に主席番号順に自己紹介をさせた。

 これも学校行事と思えば気は楽なのだが色々と物事が重なって気が重かった。元々、苦手な事もあって緊張を隠せなかった。

 次々と生徒が自分なりに自己紹介を済ませ凪沙の番に回ってきた。視線が凪沙に集中して余計に緊張した。

 僕は席を立って周りを見渡した。数人の生徒と目が合った。直ぐに視線を下に向いて自己紹介を始めた。

凪沙新吾

は、始めまして……凪沙新吾です……

女子生徒

カワイイ

女子生徒

女の子みたい

凪沙新吾

……え、えっと

 凪沙の女の子みたいな見た目に男子よりも女子生徒は興味津々のようだ。それに加え細身の体に女性のような低い声だ。興味を待たれたれても仕方なかった。

 僕は恥ずかしくて顔が赤くなった。余りにも恥ずかしくて頭の中が真っ白になってしまい話したい内容が飛んでしまう。

凪沙新吾

……よろしくお願いします

凪沙新吾

緊張した。友達できるかな。みんな優しそうだけど……

 中学生の頃も似たような経験はあったけど、ここまで緊張はしなかったな。

 自己紹介を終えて僕は静かに座った。

 凪沙の自己紹介が終わっても私語が続いていた。良くないと思った鬼灯が咳払いをして注意した。

鬼灯先生

お前達、静かにしろ。まだ次があるんだ。終わらないぞ

 徐々に静かになって自己紹介は続いた。自己紹介が終わる頃には落ち着き鬼灯の話を聞いていた。学校の説明を人通り教えて授業が終わった。

 僕は高校生活が不安だな。上手くやっていけるんだろうか。

 何処か疲れた凪沙は授業が終わると机に失せた。緊張は解けたが不安だけが大きくなっていた。目を閉じて落ち着か競ることにした。

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