スマホで時間を確認した鮫野木の反応を見た藤松はスマホを取り出して時間を確認する。鮫野木が確認した通り十七時四十五分だった。間違えではないようだった。

 スマホの故障ではないようだが頭が痛い。

鮫野木淳

十七時過ぎね……どう考えても昼なんだよな

藤松紅

鮫野木のスマホも壊れてるってことはないよな?

鮫野木淳

それはない……ん?

 俺が藤松に返事を返しながらスマホを操作していたらネットに繋がらない事に気が付いた。何度かネットに繋がるか試してみたが繋がらない。インターネットに接続されていまんとしか表示されない。

鮫野木淳

ネットに繋がらない

藤松紅

おい、本当か

 藤松もネットに繋がるか試してみたが繋がらないようだ。凪沙も同じように確かめてみたが繋がっていないようだった。

 山はネットに繋がりにくいのか? と言ってもそこまで標高は高くないし木も廃墟に入る前より小さい気がする。何かの影響で繋がらないのか?

鮫野木淳

おいおい、どうなっているんだ

この様子だと電波も届いてないんだろうな。アニメとかでよくあるんだ。携帯が使えなくなって主人公達が困惑するシーン、まさか現実で起きるとは思わなかったよ。

 色んな事で頭がいっぱいになっている時に雪音が遠くを見つめ話しかけた。

小斗雪音

ねぇ、みんな。誰かこっちに来るよ

 視線の先に人の姿が見えた。中学生ぐらいの女の子が近づいていた。女の子は何処か機嫌が悪い様子で俺達の元に寄ってきた。

女の子

あなた達は僕の家の前で何をやっているんですか?

鮫野木淳

家? 嫌ここは――

 女の子は不機嫌そうにしている。理由は自分の家の前に俺達が居る事だろう。だが、背中にある家は廃墟のはずだった。人が住める家ではない。

 そのはずなのに胸騒ぎがした。外に出てから一度も廃墟の外見を見ていなかったからだ。奇妙な事が他手続きに起きてすっかり忘れていた。廃墟の中が新しく綺麗になっていた。つまり外見も綺麗になっているのではないか。

 そう思い俺達は振り返る。

鮫野木淳

――家だ

女の子

…………?

 振り返って目に映るのは廃墟ではない良く出来た新居同然の家だった。俺は自分に映る物に言葉を失ってしまった。

 訳がわからなかった。廃墟だったはずの建物が新築みたいになっていた。あの影のような手に襲われてから何が起こっているか理解が追いつかないでいた。

 自分の家を不思議そうに見ている四人に女の子は口を開いた。

女の子

何、当たり前のこと言っているんですか? それに僕の家はそんなに珍しいですか? もしかしてバカなんですか?

鮫野木淳

バ、バカちゃうわい

女の子

あ、そうですか

 俺のおどおどした態度に女の子は落ち着いた様子で返した。

 女の子から言わせれば自分の住む家がまるで家じゃないみたいな反応をしている四人の高校生は奇妙でバカと言われても仕方ない。

鮫野木淳

ちょっと待て、ボクっ娘、本当にお前の家なのか?

女の子

何度も言わせないでください。余りしつこいと警察を呼びますよ

鮫野木淳

おい、ボクっ娘……警察はよしてくれ

 流石に警察は困る。これ以上厄介事を増やされては困る。

野沢心

……あの僕の事、ボクっ娘って呼ばないでください。ちゃんと野沢心(のざわこころ)と言う名前があるんです

野沢心

用がないなら帰ってください

 心は玄関の前に居る俺達をすり抜けて足早に家の中に入った。すぐに鍵を掛ける音がした。どうやら心が用心して鍵を掛けたようだ。

 廃墟だった家の間に残された四人はどうすることもなく立ちすくんでいた。

 そんな時、雪音が俺に寄り話した。 そんな時、雪音が淳に寄り話した。

小斗雪音

淳くん、一旦ここから離れない。気味が悪いよ

鮫野木淳

おう、そうだな

 仕方なく四人は廃墟もとい家から離れて山から下山することにした。

 下山する途中、廃墟に侵入を防いでいたチェーンがなかった。誰かが外したと言うより元からそこにチェーンがなかったかようだった。

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