何故、立入禁止の場所に行ってはいけないのか、それは確かな理由があるからだ。しかし、その理由を深く考えたことはないだろう。何故なら常識として立入禁止の場所に入ってはいけないと知っているからだ。

 例えば危険な場所、私有地、軍事基地、遺跡、火山地帯、災害など場所によって立入を禁止している場所はある。各自で理由は違うが人を近づけない点においては同じ理由だ。

 けれど、理由は定かではないが立入禁止な場所もある。その場所の過去で何があったか、その場所にどのような意味を持っているのか不明である。

 ただ、理由が隠された人を立ち入る事を禁じた場所に侵入した時、どうなるのかは知る由もない。

 立入禁止の場所は必ず理由がある事を忘れてはいけない。

小斗雪音

……淳くん……淳くん

 誰かが俺を呼んでいる。何だか悲しそうだな。何度も呼ばなくても聞こえているよ。

 俺は呼ぶ声に答えるように目が覚めた。雪音が淳を見下ろすように泣きそうな顔をしていた。いつの間にか気を失っていたようで雪音が膝枕で見守っていたようだ。

鮫野木淳

ユキちゃん……

鮫野木淳

ユキちゃんは泣き虫だな

 目が覚めたばかり冗談に雪音は少し腹を立てた。

小斗雪音

淳くん、怒るよ

鮫野木淳

ごめん、変な夢を見てつい

小斗雪音

……夢?

 俺はゆっくり起き上がると周りを見渡した。畳のいい匂いがする和室だった。リビングの方で藤松と凪沙がいた。

 あの出来事が嘘のようだ。きっとアレは夢だ、何故だか知らないが俺は寝てしまった。廃墟で寝てしまうなんてどうかしているな。

小斗雪音

夢なんかじゃないよ

鮫野木淳

え、何を言っているの?

小斗雪音

こっちに来て淳くん

 雪音に言われた通り俺は跡をついていく、雪音は少し緊張しているようで落ち着きがないようだった。

藤松紅

よう、鮫野木起きたか

鮫野木淳

おい……これってどうなっているんだ

 リビングに来てようやく理解した。何故、雪音が夢なんかじゃないと言ったことを知らされた。全てが新しくなっていた。朽ちていたはずの壁や板は傷一つなく家具まで綺麗に整頓されていた。まるで今でも人が暮らしているようだった。

 俺は一歩ずつリビンクに足を入れる。目の疑う光に驚く暇もなかった。

藤松紅

驚いたよ、流石にな

鮫野木淳

藤松……ここはあの廃墟だよな?

藤松紅

……廃墟には見えないがそうだろう。俺もいまいちわからない

 藤松は落ち着いた様子だった。

藤松紅

俺がアレに襲われたて目を覚めた時にはこうなっていたよ

鮫野木淳

そうなのか

 藤松の言う通りならやはり夢じゃなかった。まさか俺達はテレビの中に居るのか?

 窓から暖かい日差しが当たる。記憶が正しければ木が育っていて日の明かりが差し込むことがなかった。どうやら木が育っていなく背が低くなっているのだろう。

鮫野木淳

一旦、外に出ないか。確認したいことがあるんだ

 日差しに気づいた淳はある事が気になっていた。その事を確認するため外に出ようとした。気味の悪い場所に居たくないようで話し合いをすることなく廃墟から出て行くことになった。

 リビングから廊下を抜けるさい雪音は俺の手を握った。俺は優しく握り返した。これで少しは安心してくれれば良いのだが。

 玄関を開け外に出ると日差しが眩しかった。真上から日差しが暖かくいい天気だった。しかし、それは俺達にとっておかしいことだ。

鮫野木淳

どういう事だ。俺達が廃墟に入ったのは夕方のはずだろ。どうして真上に太陽があるんだ

小斗雪音

これどうなってるの?

藤松紅

ありえない

凪沙新吾

……これって

 全員が廃墟から出て目を疑う。何故、こんな事になっているのかわからないまま俺はスマホを取り出した。画面を操作して時間を確かめた。

鮫野木淳

十七時四十二分……だと

 スマホは正常だ。俺達が廃墟に居たのは夕方の五時過ぎたろう。あの手に襲われて気絶したからといって四十分ぐらいしか経っていない。

 それなのに真上に太陽がある。違う場所に移動した? それはない約四十分で真上に太陽がある場所に移動できるはずがない。

 だとしたらここはどこなんだ。

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