ある動画が投稿された。その動画は数分間と短い動画だったが疑問が上がった。

 その内容は廃墟の天井を写し続け廃墟動画で有名なY氏の悲鳴が聞こえた後、人が倒れた音がする。残りはノイズが流れて動画は終わる。

 この動画はたちまち広がり謎を生んだ。

 まず、Y氏は廃墟で意識不明で発見された。当時、Y氏は廃墟動画を撮るために撮影をしていたそうだ。

 投稿者が謎だった。投稿されたアカウントはY氏のものだった。しかし、当の本人は入院をしていて動画を投稿できる状態ではないそうだった。なので投稿したのは他人と推測された。誰が上げたかはわかっていないらしい。

 何者かがY氏が撮影した動画を上げたことで動画は削除された。けれど、一度ネットに流れた動画は投稿者を変え拡散した。

 もともと怪しい噂があった廃墟で起きたこともあって加速をかけた。結果、投稿者Yの怨念が動画を投稿したと形になって噂されるようになった。

藤松紅

これが投稿者Yの怨念の全てだ

鮫野木淳

なるほど、けどよ。テレビが出てきてないぞ

 藤松はテレビが写っていたと言っていた。しかし、話を聞くにテレビについて話していなかった。

 平然と紅は疑問に答える。

藤松紅

まぁ待て、公開はされてないが警察が押収したビデオカメラに写っているそうだ。ネットに投稿された動画はあくまで一部分だろ

藤松紅

でも警察はY氏がここで撮影した無編集の動画を観たはずだ。その動画にテレビが写っていたと俺が見た掲示板にそう書いてあったぜ

鮫野木淳

それも噂だろ。憶測だ

 何で警察の情報がいとも簡単に掲示板に乗っているんだ。そんなに甘くないだろ。

 淳の反論に紅は臆することもなかった。

藤松紅

いや、そうとも限らない。投稿者Yの動画にテレビ自体は写っていないが音を拾っていたんだ

鮫野木淳

音って?

藤松紅

ノイズが流れていたって言っただろ。砂嵐だよ。知らないのか?

 なるほどそれでテレビがあるのか。掲示板の情報は怪しいが上手いこと出来ているな。

凪沙新吾

それって砂漠の?

 新吾はテレビの砂嵐を知らないようだ。仕方のないことだ。技術の進歩によって観れる機会はなくなっているのだから。

鮫野木淳

違う。昔のテレビはテレビ放送終了した時や電波状態が悪い時や画面が乱れた時にザー、ザーザーってノイズが流れてたそうだ。それが砂嵐みたいだから砂嵐って呼ばれたそうだ。今はデジタル放送だから無いらしいな

凪沙新吾

知らなかったよ

 新吾は返事に淳は何処か恥ずかしかった。

 知っていることを話しただけなんだよな。

藤松紅

何処で知ったんだよ

鮫野木淳

人から聞いたんだよ。実際は観たことはないけど

 俺も知らなかった。あいつが怖い話で出てこなかったら知ることはなかっただろう。

藤松紅

ともかく、テレビを探せ。ビデオカメラが音を拾ったってことは近くにテレビがあったはずだ

 紅はリビングでテレビを探したがテレビは置いてない。奥に進み和室を覗くとテレビがあった。古いブラウン管テレビが和室の隅に構えていた。

藤松紅

お茶の間にテレビねぇ

 和室はリビングより暗いように感じる。窓が小さいからだろうか。そんな些細な疑問も忘れ紅はテレビに近づいた。

 テレビの前に立った紅は天井を見た。

藤松紅

なるほど、ここか

鮫野木淳

何、一人で納得しているんだ

鮫野木淳

……

 淳が紅のところに向かおうとした時、後ろから女の子の声が聞こえた。後ろを振り返るとそこには誰も居なかった。ただ、廊下に繋がる扉が開き放しなっていた。

凪沙新吾

鮫野木くん、どうかした?

鮫野木淳

……いや、別に気になっただけだ

 隙間風かなんかが声みたいに聞こえたんだろう。うん……そうだな。

 淳は開き放しなっていた扉を締めて新吾と共に紅のところに向かった。

藤松紅

開けとけばいいのに

鮫野木淳

気になるんだよ。それで、何かあったのか? 自身がありそうな顔をして

藤松紅

これを観てくれここの天井と同じだろ

 紅はスマホを見せた。暗いが板で出来た天井の写真が写っていた。もしやと思って淳は天井を見ると写真で見たそのままの天井があった。

 どうやら紅が言った通りこの場所にビデオカメラが横になっていたようだ。

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