GAMES&CAFEで遊んでから数日が経ったある日、自分の部屋でアニメを観ていた鮫野木のスマホに連絡が届いた。その目を疑う内容に頭を抱えた。

 ついに廃墟に行く日程が決まってしまった。ここで断れば行かなくてすむが……俺は行かないといけない。だって俺は約束したんだ。

 悠長に廃墟に行く表明をした。それを既読した藤松から楽しみだなと返事が返った時、自分を恨んだ。

 決定日は明日、学校が終わってそのまま向かう。その日は晴れのようで外に遊びに行くのには丁度良いだろう。ただ、場所は選んだ方がいい。

 次の日の放課後、浮かない気持ちを隠しながら目的地である廃墟に向かっていた。こんなに憂鬱な日があっただろうか。今更公開しても遅いのはわかってる。そんな事を色々と考え気持ちをごまかしていた。

 そうでもないと恐怖で逃げ出しそうだった。

藤松紅

この先を行けば直ぐだな

鮫野木淳

……そうだな

 俺は軽く返事をした。

藤松紅

なんか元気がないな。鮫野木

鮫野木淳

えっ、そうか、緊張してるのかもな

 平然のように笑った。まるで緊張しているのを隠すように……自分を偽って。

 緋物市立緋物学園から歩いて鮫野木達は廃墟に続く道路に足を入れる。人気がなく多くの樹木が目に映るようになった。緩やかな坂を何度か曲がりながら登る。このまま行けば展望台に出るのだが目的地はそこではない。

 ある程度登るとコンクリートで舗装された道路と違い土がむき出しになっている道がある。その道は一本のチェーンで塞がれていた。そのチェーンに立入禁止の看板が吊り下がられている。長年取り替えられてないのか看板は錆び付いていた。

 ついにここまで来てしまった。この先に足を入れたらもう後戻り出来ないよな。

鮫野木淳

なぁ、藤松……

藤松紅

どうした?

 俺が藤松に声をかけた時には藤松はチェーンをまたいで超えていた。

鮫野木淳

――何でもない

 俺は一度チェーンを見つめて立入禁止の敷地に侵入した。悪い気持ちより恐怖心の方が強い。やはり俺は来るべきではなかった。

 藤松を先頭に俺と凪沙は舗装されていない土の道を歩いた。

藤松紅

もう少しで廃墟に付くな

鮫野木淳

――もう着いてしまうのか、流石に覚悟しないとな

 緩やかな坂を進むと廃墟が見えた。広い庭は雑草が生えて手入れされてないのがよく分かる。廃墟は二階建ての立派な家だった。朽ちてなければ家として使われていたはずだ。

 初めて見る廃墟に凪沙に動揺していた。

凪沙新吾

どうしてこんなになってるのに立て壊さないんだろう

 凪沙の疑問に藤松は話し出した。

藤松紅

俺の調べによると昔は普通にある家族が暮らしていた……ただ、子供を残して両親は死んでしまったらしい

凪沙新吾

それって……殺人

 怖がっている凪沙の顔色を覗いて藤松は話を続けた。

藤松紅

いや、殺人じゃない。そう言う噂もあるが事実に近い話が父親は発狂し病院で死んでそれを追うように母親も自殺したそうだ。以来、空き家になって色んな噂が流れるようになった

藤松紅

最近、ある動画が有名になってな。聞いたことないか投稿者Yの怨念動画知らないか

 凪沙は首を振った。

凪沙新吾

知らないし聞いたこともない

藤松紅

噂だけどな。投稿者Yはここに来て動画を撮ったそうだ

凪沙新吾

ここで

 藤松が言うに投稿者Yは廃墟で撮影をしたらしい。その動画はもう消されているそうだが誰かが録画をして噂とともに広まったそうだ。

 三人は廃墟を見つめる。そこにある廃墟に不気味さを感じるのは噂のせいだろうか。風で揺れる木の音が余計に不気味さを引き立てた。

藤松紅

あぁ、その動画が公開されたんだが妙な動画だったし投稿者Yが倒れて発見された事もあって噂が広がっているんだ

藤松紅

そのせいか立て壊せないかもしれないな

 目の前の廃墟に流れる噂は多くある。その噂が嘘か真かそんな事はわからない。人の噂ほど曖昧な物はないからだ。

 どんな噂が広がろうと噂をどうするかも人の次第である。そういった積み重ねが廃墟を不気味にしているかもしれない。

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