淳の選んだボードゲームを遊び注文した飲み物を飲んで過ごしていた。二つ三つとゲームを熱中して遊んで時間を忘れていた時だった。紅が面白げに話す。

藤松紅

ところで今朝の事覚えているか?

凪沙新吾

今朝の事?

 紅は鞄の中から今朝、配られたプリントを取り出して机に置いた。

 新吾はプリントを眺めて質問をした。

凪沙新吾

そのプリントがどうかしたの?

藤松紅

ここに書かれている廃墟だが行ってみないか?

 当然、新吾は困っていた。わざわざ違反行為をする訳がない。

 まさかの提案だった。近づくなと注意されたばかりの場所に行こうとしている。わざわざプリントを作ってまで注意しているのは行かせたくないちゃんとした理由があるからだ。

凪沙新吾

えっ、ダメだよ。行くなって言われたでしょう。鬼灯先生に怒られても知らないよ

 小野寺鬼灯先生は怒ると怖いと生徒の中で有名だった。怒られた生徒が言うには小さな見た目から想像できないが鬼が見えたと言う。その事を知っているはずの紅が禁止されている事を提案している。

 怒られるのが怖くないのだろうか。俺は金をいくら積まれたって行かないね。

藤松紅

まだまだ子供だな。凪佐は

藤松紅

行くなって言われたら行く、そうだろ? 鮫野木

鮫野木淳

……ああ!

鮫野木淳

――えっ

 体がビックとした。とんでもない嫌な予感がする。

 話の流れからまさかと思ったが廃墟なんて行こうなんて冗談だけにしてくれ。

鮫野木淳

そ、そうだぜ。漢なら好奇心に負けてはいけない。廃墟の一つや二つ、探検するぐらいやらないとな

 おいおい、俺は何を言っているんだ。馬鹿か!?

 思いもしない事を言ってしまうのは廃墟が怖いことを知られたくないからだ。だから自分を偽ってまで陽気に振る舞ってしまう。

藤松紅

その通りだ。ここで乗らなきゃ漢が廃るぜ

凪沙新吾

…………僕も行くよ

 新吾は仕方なく紅に乗せられてしまった。嬉しそうに紅は新吾の肩を組んだ。

藤松紅

ハハッ、そう来なくっちゃ

鮫野木淳

おいおい、何で行く前提に話しが進んでいるんですか?

 冗談じゃない。俺は……廃墟に行くなんて出来ないよ。

 淳は行きたくなかったが上手く断れなかった。あんな事になるなら見栄をはらずに正直にいれば、どんなに良かったか。そんな事も知らずに話が進んでいく。

ミミタン

何処か遊びの予定ですか?

藤松紅

あ、そうすっね。予定ですね

 紅は簡単な質問に答えた。

 そんな時ミミタンが様子を見に来た。机に置かれたプリントに興味を持ったようでプリントを手に取る。

ミミタン

このプリントは何ですか? 藤松様

藤松紅

これは今日、学校で配られて雪音も持ってるよ

ミミタン

そうなんですね。後で雪ちゃんに見せてもらいましょう

 何故かミミタンは小斗雪音の事を知っているようだ。それもお客様より距離が近い感じがする。

 不思議と思って新吾はミミタンに質問をした。

凪沙新吾

あの、ミミタンさんは雪音さん事を知っているんですか?

ミミタン

はい、雪ちゃんは私の妹ですから

凪沙新吾

えっ、そうだったんだ

 高校一年生の頃から付き合いのある紅と随分前から付き合いがある淳はミミタンと小斗雪音が姉妹なのは当然知っていた。

 しかし、最近、転校してきた新吾は知らなくて当然だった。驚いてもしょうがない。

 ついでに淳と紅がGAMES&CAFEを知ったのもミミタンが働いていることを妹の雪音に教えてもらったからだ。雪音とミミタンが姉妹じゃなかったらGAMES&CAFEを知るのが遅くなっていたかもしれない。

鮫野木淳

そうか、凪佐は知らないよな。ミミタンは雪音のお姉さんなんだぜ

凪沙新吾

言われたら……似ている

ミミタン

ありがとうございます。凪佐様

 ミミタンは嬉しいそうにお辞儀をして空になった飲み物を下げていった。

 それから淳達はゲームを遊んで楽しい時間を過ごして解散した。初めてボードゲームを遊んだ新吾はとても楽しめたようで誘った甲斐があった。

 ただ、廃墟に行く事は決定してしまった。これだけは冗談で終わって欲しかった。

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