私が深い眠りから覚めると、心地よい朝日が窓から指し込んでいた。とても穏やかに晴れた朝。
小説の世界の朝は現実世界とは比べものにならないくらいに澄んだ空気が流れている、とても朝らしい朝だった。
私の隣のベッドには見慣れない女性も寝ている。だけど、人相でわかった。
この子は私が書いている小説のレムの性欲のはけ口にされてしまっている女の子だった。
綺麗な茶色のロングヘアーが乱れて咲いている。長いまつ毛。繊細な眉毛。唇は瑞々しい桃色の唇。
だけど、その子の頬には涙の跡があった。理由はわかった。多分、私が深い眠りへ入っている時、この子は昨夜、レムに抱かれたんだと思う。
この世界には時計はないのかなあ…と思って何気なく白い壁を見ると、壁掛け時計があった。今の時間は朝の7時30分。
何だかお腹が空いた私は、背筋を伸ばしてベッドから起き上がった。
そうしたら、その子も朝日の光で眠りから覚めた様子だった。眩しそうに朝日を浴びている。
薄めの白い毛布を取ると彼女も起き上がって、そして不思議そうに顔をかしげた。
そっか。向こうは私のことを知らないんだもん。私はこの世界の作者だから知っているだけで。