俺と藤松と凪沙の三人は肩を並べて大通り沿いの雑居ビルの前に居た。
俺と藤松と凪沙の三人は肩を並べて大通り沿いの雑居ビルの前に居た。
オドオドと凪沙は二人の後ろについて行きエレベーターに乗った。三階で降りるとGAMES&CAFEと書かれた看板が目に入いる。
凪沙の奴、緊張しているな。俺も藤松と最初に来た時は緊張したな。あの時は近所にこんな場所が出来たなんて思いもしなかった。
本当にカフェなんだろうね?
何度も言わせるなよ。カフェだよ。看板に書いてあるじゃないか
……ゲームアンドカフェ?
俺と藤松は店の扉を開けて中に入っていく。
凪沙は恐る恐る後を付いて店に入るとあるとあらゆるボードゲームが棚にいくつも綺麗に並べられていた。仕切りが少なく広く感じるフロアは窓から光が差し込んで明るく、席が等間隔に並べられている。
そこでは何組かの客が楽しくゲームをしていた。
来店に気づいたメイド服を着た女性が出迎えに来る。メイドは黒い猫耳を付け胸元に白い文字でミミタンと書かれた丸くてピンク色のバッチをしていた。
お帰りなさいませ、ご主人様
……!?
凪沙は目を丸くしていた。まさかメイドさんが出て来るとは思わなかったのだろう。驚きのあまり硬直している。
凪沙、いいリアクション連れて来た甲斐があったぜ。
俺と藤松はお互いに目を合わせると笑った。まるで子供のイタズラが成功した時のようだった。
そう、ここはただのカフェじゃないんだよな。
ミミタン、久し振りです
オッス、ミミタン
メイドと面識がある俺と藤松は軽く挨拶をすました。
六月の中間テストがあってGAMES&CAFEは三週間ぶりだな。相変わらずミミタンはメイドである。
鮫野木様、藤松様、お久し振りです。そちらのご主人様はお二人のご友人ですか?
はい、凪沙新吾って言うんだ。この人はミミタン。ここのGAMES&CAFEのメイドさんだ
凪沙に気が付いたミミタンに俺は名前を教えた。凪沙は恥ずかしそうに返事をする。
は、はじめまして凪沙新吾です
はい、始めまして凪沙様、ミミタンと申します。以後お見知りおきください
恥ずかしそうに凪沙は答えるとミミタンは笑顔を返した。
席にご案内しますね。ご主人様
ミミタンに案内されて席に着いた。席に座って荷物を置くとミミタンは注文を聞いた。
お飲み物はどうしますか?
そうだな
この店は基本料金と時間制限が決まっており飲み放題だ。メニューに食べ物は無いがアルコール類を除いて飲み物が充実している。
メイドが接客してくる事もあってボードゲーム好きで話題になっていた。緋物市でボードゲームを遊ぶ場所として認知されている。それが、GAMES&CAFEである。
机にあるメニュー表を除いてそれぞれ好きな物を選んだ。
まずはメロンソーダだな
俺はホットコーヒーをブラックで
それじゃあ、カプチーノをお願いします
かしこまりました。メロンソーダ、ホットコーヒー、カプチーノですね。ゲームをしながらお待ち下さい
注文を確認したミミタンは厨房へ向かった。
ミミタンが席を離れて凪沙は不思議そうな表情を浮かべ質問をした。
ここって、ボードゲームカフェなの? いろんなゲームがあるけど
凪沙は周りが気になっているようで落ち着きがない。
ああ、飲み放題でゲームが出来る。そしてメイドが居る。面白い場所さ
俺は嬉しそうに笑った。
どうだ、驚いただろ
そりゃ……驚いたよ
ハハハッ、それは良かったぜ!
緊張が溶けたのか新吾は椅子に背中を預けた。どうやら緊張で面接の時みたいに座っていたらしい。
凪沙も驚いたようでなりよりだ。ちょっとしたサプライズが出来て良かったぜ。
さて、何をして遊ぼうか。
凪沙と藤松はそこに居な。俺がゲームを選んでくるからよ
おお、助かる
鮫野木はボードゲームを選びに行った。