静かになった教室で鬼灯は抱えたプリントを教卓の上に置いて話だした。

鬼灯先生

えーと、今日は初めに伝えないといけない要件がある。よーく聞けよ

 プリントを手にとった。プリントを見た鬼灯は少し不満そうな表情をした。

鬼灯先生

えー近所にある山があるだろ。そこに廃墟があるな

男子生徒

はい、俺知ってます!!

 男子生徒の一人が元気よく答えた。その声は教室中に笑いを誘った。

 鬼灯は咳払いをして男子生徒を注意する。

鬼灯先生

おう、そうかそうか。知っているのは良いが――黙ってろ

鬼灯先生

さて、最近。うちの生徒が廃墟に不法侵入していると報告があった。つまり警告だな。楽しい学校生活を過ごしたいのなら、このプリントを良く見とけ

 そう言うと鬼灯はプリントを配る。生徒たちはプリントの内容に動揺している。

鬼灯先生

まぁ詳しい事はプリントに書いてある。お前たちはバカな事をしないと先生信じてるからな

 プリントが鮫野木の手元に回ってきて内容を確認する。そこに書かれたのはあの廃墟について書かれていた。

 緋物学園の近くに山がある。そこの灯台に続く道があるのだが途中に封鎖された分かれ道があり、その先に進むと廃墟がある。

 その廃墟に緋物学園の生徒が侵入したそうで問題になったようだ。

 まとめると廃墟に近づいては行けない。近づき侵入した者は重い処分があるようだ。

鮫野木淳

そんな事言われなくても俺は廃墟なんか行かないよ

 まぁ、これであそこに行く奴はいないな……。そもそも俺は廃墟が嫌いだ。廃墟には良い思い出なんてない。

 緋物市に昔からある廃墟だ。俺が子供の頃から取り壊されることもなく存在していた。小学生に一度だけ友達と行ったきり見たこともない。

 今も存在していると知った時、懐かしいと思ったが思い出すのをやめた。

 プリントを配り終わった鬼灯はある程度注意をして点呼を取った。それからは普通に授業が始まり、何事もなく過ごした。

鮫野木淳

さて、帰ってアニメ観るか。やることないし……

 放課後になり帰ろうとしてた時に藤松が鮫野木に話しかける。

藤松紅

おい、鮫野木。凪佐をあの店に連れて行こうと思うんだが

鮫野木淳

ほう……そう言えば、あの店に凪沙は言ったことがないよな。誘って行くか

藤松紅

ああ、そうしよう

 あの店はここら辺じゃ珍しいからな。最初に入った時は緊張したが面白さがわかったら何回も通うようになった。凪沙にもあの面白さを教えてあげよう。

 不敵に笑う俺と藤松は強く手を握った。

 二人の悪い同盟が結ばれた瞬間である。イタズラに近い動機で凪沙をカフェに誘うことに心は痛まなかった。凪沙の驚いた顔を見たいだけである。

 善は急げとターゲットを捕まえてカフェに誘う。

鮫野木淳

なぁ、凪沙隙か? 良かったらカフェに行かないか?

凪沙新吾

鮫野木くん、カフェに行くのは良いんだけど、その……怪しいよ。何か隠してない?

 何かしら良からぬ空気を感じたようで凪沙は警戒している。二人の様子を疑ってしまった。

 凪沙め。変に感のいい奴だな。

鮫野木淳

全然怪しくない。俺が凪沙を騙したことがあるか?

凪沙新吾

……無いけど

 鮫野木は咄嗟に言い訳をしたが余計怪しまれた。見かねて藤松が代わりに説得に出る。

藤松紅

お前、下手くそだな

藤松紅

確かに隠し事はしているが安心しろ、ちゃんとしたカフェだ。ちょっとしたサプライズがあるだけだ

凪沙新吾

ちょっとした?

 警戒が解けたようで凪沙はきょとんと返事をした。

藤松紅

ああ、誰かさんのせいで驚きが半減したが

鮫野木淳

おいおい、俺の何処が悪かったんだ

 俺がは藤松を睨みつけた。

 まるで俺が嘘を付くのが下手くそみたいじゃないか。でも、バレていないし問題はないか。

凪沙新吾

まあまあ、おすすめなんでしょ、案内してよ

鮫野木淳

そうだぜ、楽しい店だぜ

凪沙新吾

楽しい?

 俺と藤松は不敵に笑い、凪沙をあの楽しい店に連れて行く事に成功した。

 凪沙の新鮮なリアクションを期待してあの店に向かうのであった。

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