ハマっているアニメを語るのは楽しかった。特に自分の気に入っている作品を語る時は心地が良い。まあ、俺が一方的に語っているだけなんだが。

 それにユキちゃんはあまりアニメに興味がない。そのはずなのに最後まで話を聞いてくれる。

 ただ、意味はわかっていないようだけど。
 俺が魔装少女リンカについて語っていたら後ろから声をかけられる。

藤松紅

鮫野木そんなに良かったのか?

鮫野木淳

そうなんだよ、六話はマジ神回だったぜ。リアタイで観てないのかもったいない

藤松紅

鮫野木がそこまで言うんだ。帰ったら観てみるか

 俺に話しかけた藤松紅(ふじまつくれない)だった。数少ない友人の紅はスマホを取り出して何かを調べ始めた。

藤松紅

本当だ。SNSで検索したら色々と出てきたぞ……ふーん、なるほどね

鮫野木淳

どれ?

 紅のスマホを覗き込むと魔装少女リンカ六話について色々と書かれていた。 戦闘シーンが良かったとかリンカが覚醒したとかで盛り上がっていた。

 自分の好きなアニメが友達も共感できて嬉しかった。紅はあまりアニメを観ない。ゲーム、ボーカロイドなどの曲が好きな奴だ。

凪沙新吾

おはよう鮫野木くん。魔リカ面白かったね

鮫野木淳

おお、同士凪佐よ。わかるぜ、作画よかったよな。文句のつけようがない

 可愛い笑顔で挨拶をしたのは凪沙新吾(なぎさしんご)だった。俺と同じオタクでコスプレイヤーだ。彼は手先が器用のようで自作で衣装を作っている。

 去年、転校してきた新吾とアニメの話で息があって以来、友達になり楽しくやっている。

藤松紅

そう言えば漫画の頃から好きって言っていたな。お前

凪沙新吾

へーそうなんだ。すごいね、鮫野木くん。名作を見つけるのが上手いんだね

鮫野木淳

おいよせよ。照れるぜ

 頭をかいて淳は照れる。

 新吾はニコッと笑い淳に話しかけた。

凪沙新吾

僕は尊敬するよ。鮫野木くん

 やはり魔装少女リンカ略して魔リカは神アニメだな。漫画が連載した時から観て面白いと思っていた作品だ。アニメ化が決定した時は嬉しすぎて死ぬかと思った。

鮫野木淳

へへっ、凪沙。俺は魔リカの為なら学校をサボるぜ

凪沙新吾

えーそれは駄目だよ

 凪佐が心配しなくても冗談に決まっているだろ。相変わらず凪佐は優しいな。

小斗雪音

そんなこと言って怒られても知らないから

小野寺鬼灯

そうだぞ。鮫野木、私の授業を受けたくないのか……残念だな

 雪音に注意された直後、後ろから聞き覚えがある声がした。振り向くとよく知っている人が残念そうな様子で立っていた。

鮫野木淳

その声は鬼灯先生! いつからいたんですか!?

 いつの間にか担任の小野寺鬼灯(おのでらほおずき)先生がいた。どうやら話を聞かれていたようだ。ため息を吐いて淳をにらみつける。

 ただ、鬼灯より背の高い淳をにらみつけると見上げる形になってしまう。仕方のないことだ鬼灯は成人女性と思えないほど背が低く幼く見える。

 小さな見た目と違って鬼灯先生は迫力があって怖いんだよな。

小野寺鬼灯

サボるつもりなら、覚悟……を決めておけよ

鮫野木淳

嫌だな、先生。冗談ですよ冗談

 穏やかに済ませようとあたふた淳を紅が面白げに横槍を入れる。

藤松紅

先生。こいつ割と本気で考えてますよ

鮫野木淳

Why藤松くん? 君は何を言っているんだ

小野寺鬼灯

まぁ、それぐらいして、お前ら席につけ。ほら、ホームルームだ。座れ座れ

 そう言うと鬼灯は教壇に立ち教室にいる生徒全員に聞こえるように声をかけた。それと同時にチャイムが鳴った。

 二年二組の生徒は各々の席について鬼灯に注目をした。

pagetop