私は少女に手を引かれいつの間にか伊月から離れ階段を上っていた。今までいくら繰り返してきた経験と全く違う。

 知らない少女に何処かに連れられる事なんてなかった。

 状況に驚きながら私は少女の誘導に抵抗することなく後をついていき気付けば誰もいない屋上に立っていた。

???

ここで良いか

 少女は手を離すと見た目と反して大人びた口調で話し出した。

???

君は過去に戻り未来を変えようとした。しかし、失敗したのだろう? 何故、失敗するか考えたことはあるか?

???

ある。そうだろう

???

思考しやり方を変え選択肢を変えた。確かに未来は変わる。ただ選択を変えても結果が変わらなかった。何度も繰り返しても

美野 一四日

どうしてあなたは知っているの? まるで見てたように

 少女の言った通り私は過去に戻り未来を変えようと繰り返してきた。でも、その事を知っているのは私、以外いないはずなのにどうして少女は全て知っているのだろう。

???

見たからさ

美野 一四日

見たって……どういうこと?

 少女は自分の目を指差した。

 まる自分で見たような仕草だった。少女は本当に美野が過去で体験した事を見て知っているようだ。

 様子を見るに嘘を付いていないようで美野を見ていた。

美野 一四日

まさか、異能力を使って?

 私を見ていたって事は彼女も過去に戻る何らかの異能力を使えるはずだ。そうでもないと見たなんて言えるわけがない。

???

異能力か、君はそう読んでいるならそれなのだろうな

 少女のさっぱりと返事をする。まるで異能力を使えることが当然のようだった。

???

そんなことより、私と手を組んで過去を変えてみないか

 少女は美野の目を見つめる。

???

君は過去を変えたいはずだ。私はその方法を知っている。組まない手はないだろ?

 そう言うと少女は美野に手を差しのばした。

美野 一四日

確かに変えたいけど、あなたは何者なの?

 見た目は何処にでもいる少女だ。けれど中身が違う気がする。別の人格と話しているようで気味が悪かった。

 しかし、諦めていた事が叶うなら悪魔でもいいと思っていた。悪魔にでも頼まないとまた同じ事を繰り返してしまいそうだからだ。

柊七日

私か、そうだな……柊七日(ヒイラギナノカ)さ、人間としては……な。何者かと聞かれたらこう答えるしかない。人間ではない別の生命体だ

――人間じゃない。

柊七日

些細なことだ。私は人間ではないだけ

柊七日

形は関係ない。あくまで器に過ぎない。要は中身の問題さ

 七日の言うことが理解に苦しむ。

 私は誰と話しているのだろう。見た目は少女だが中身が違う別の者、まるで悪魔と話しているようで恐怖を感じていた。

 人間の形をした人間ではない者と話している。湧き上がる疑問が怖いのだ。

 見た目は関係ないのか? 信じて良いのか? 人間じゃない?

 どんなに考えても答えは出なかった。

柊七日

それでお前はどうする。私と手を組むか、それとも組まないのか

美野 一四日

あなたと組めば過去は変えられるのね

 怖いと思っている。けど、彼女の言う通り未来を変えられるのだとしたら私は手を組むしかない。例え相手が悪魔だとしても過去を変えられる手段が彼女にあるのなら私は手を組むしかなかった。

美野 一四日

私はあなたを信じる。信じるから過去を変える方法を教えて

 美野は手を握る。すると七日は微笑んだ。

柊七日

いい答を聞いた。良かった私も過去を変えなくてはならなくてね

 この日を境に私は変わっていく事になった。

 人間をやめることなど知らずに…………。

メビウス・ザ・ループ(21)

facebook twitter
pagetop